人事コラム
人的資本経営

人的資本経営実装に向けた現状把握のポイント

闇雲に実装に向けて動くのではなく、正しい現状認識から始める

SCROLL

人的資本経営の実装に向けて自社を正しく現状把握する

人材育成が進まない背景

人的資本経営は何も奇をてらった施策ではなく、古来より日本企業が根幹に持っていた「人を大切にする経営」や「人の価値を最大限に活かす経営」といった思想を具体的な経営戦略として落とし込んだ概念である事をこれまでのコラムにおいても度々触れてきた。

そんな人的資本経営は、連日あらゆるメディア・媒体で取り上げられ、日々、膨大な数のコンテンツとして世の中に展開されている。

見方によっては、情報過多に陥っている感も否めず、場当たり的な対応に終始する企業が増加傾向にあることを日々のコンサルティング現場より実感している。

結果的に、人的資本経営の本質的価値や人的資本経営と向き合うための重要な第一歩が埋もれてしまっていると筆者は感じている。

その第一歩が人的資本経営を実装する前に、自社の現状を正しく把握できるかどうかである。
以下、人的資本経営実装に向けた現状把握を3つのポイントに絞ってご紹介したい。

エンゲージメントサーベイの導入価値
エンゲージメントサーベイの導入価値
"働きがい"と"働きやすさ"を分析し、人的資本経営への変革をもたらす
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現状把握のポイント①:人材投資基準の把握

現状把握のポイント①:人材投資基準の把握

一つ目のポイントは、人材投資基準の把握である。
人材投資基準の把握とは、人材に対して、どのような思想のもと、どの程度投資をしているかを明らかにすることである。
以下のポイントを中心にご確認いただきたい。

1.自社は現状どのような思想のもとに人材に投資しているのか?
2.自社の人的資本経営(人を資産と捉えた経営)に対する現状の想い(人的資本コンセプト)は?
3.自社の人材に対して、現状、具体的にどの程度の投資(時間・費用・中身)をしているのか?

現状把握のポイント②:人材価値と企業価値の連動性把握

現状把握のポイント②:人材価値と企業価値の連動性把握

二つ目のポイントは、人材価値と企業価値の連動性把握である。

人材価値と企業価値の連動性把握とは、自社のパーパスやMVVといった上位概念と採用・適応・育成・活躍・定着といった人事戦略に一貫性があるかを押さえることである。以下のポイントを中心にご確認いただきたい。

1.自社のパーパス(貢献価値)やMVVは社会性、追求性、顧客価値視点を踏まえて明文化されているか?
2.自社のパーパスやMVVはどの程度組織に浸透しているか?
3.上記1・2と連動したカタチで
採用戦略、オンボーディング、人材育成、人事制度、組織文化といった人事戦略との繋がりはあるか?

特に、パーパスやMVVに対する組織の納得性が低ければ、どのような人事戦略を展開したとしても、
対処療法(部分最適)で留まってしまうケースは多いため、丁寧に確認いただくことを推奨している。

※MVVとはミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)を指す
※社会性:自社が存在していく意味 追求性:共に働く仲間と追求していく意味 顧客価値視点:お客様に提供していく意味
※オンボーディングとはメンバーの組織順応(適応)のための取り組みを指す

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現状把握のポイント③:企業文化の把握

現状把握のポイント③:企業文化の把握

企業文化の把握とは、
「意識的継続的に育まれている自社独自の価値観」があるかどうか、あるとすればどのような価値観であるかを押さえることである。以下のポイントを中心にご確認いただきたい。

1.自社(自部門)「らしさ」は明確であるか?
2.共に働く仲間たちと追求していく意味のある価値観や世界観があるか?
3.仲間たちが真に腹落ちした文化であるか?

また近年では、人的資本経営を実装するための現状把握ツールとして、エンゲージメントサーベイを定期的に利活用する企業が増えている。
こちらの記事も合わせてご参考いただきたい。

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パーパスやビジョンおよびエンゲージメントとの
連動性を踏まえた人事制度リニューアル
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さいごに

繰り返しになるが、「人的資本経営の実装」に関する情報は膨大にあり、その一つ一つを精査することも当然大切であるが、人的資本経営の実装前に、自社の現状把握を丁寧に進め、現在地と目的地を押さえたうえでの実装をおススメしたい。

この課題を解決したコンサルタント

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