人事コラム
人事制度

人事制度とは

~人事制度の種類~

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人事制度の本質的価値を理解しよう。

人事制度はなぜ必要なのか。
「経営とはトップ陣の考えていることを社員の協力を得て実現していくこと」である。
つまり"人"は企業にとって非常に重要なファクターである。

例えば成果を出しても出さなくても給与が変わらないのであれば、人は楽な方に流れるケースが多い。
評価がなければ承認欲求も満たされにくい。
では人事制度は評価するためのもかというと、それもまた違うと思う。手段であって目的ではない。
人事制度は業績向上はもちろんのこと、社員一人ひとりの成長やキャリアアップに繋げることができ、かつモチベーションがあがる制度でなければ効果は半減すると考える。
人事制度は制度自体や運用方法を間違えると不平不満が募り、最悪の場合、離職につながることも多い。

透明性、公平性、納得性を担保しながら、成果を出した(数字だけでない)ものが報われる制度。
求める要件が明確で、努力してそこに近づいたものが評価されるものでなくてはならない。
では人事制度にはどのうような種類があるのか。整理してみたいと思う。

処遇に関わるもので、代表的なものをあげるとすれば大きく3つである。
1つ目は等級制度:
能力や職務、役割に応じてレべル分けをし、組織の序列や処遇等を決定する。
2つ目は人事評価制度:
能力、スキル、貢献度、コンピテンシー、態度等を一定期間(半年または1年が多い)測定し、評価結果に応じて処遇等を決定する。
3つ目は賃金制度:
「評価制度」や「等級制度」と連動する。給与や賞与を通じて社員の成果(貢献)に対して人件費を配分する制度。

それぞれのメリット・デメリット

等級制度は【別表1】のとおりにまとめることができ、それぞれメリット、デメリットがある。



別表1


評価制度の目的は大きく3点


1点目:人材育成(社員の成長につなげる)

評価項目に基づき評価し、それを上長からフィードバックする。良い点を伸ばし、改善点を伝えることにより人材育成につながる。

大事なのは自己評価と上司評価とのギャップを認識することである。評価は他人(第三者)が行うものであり、ギャップがわからなければ自己の成長につなげることが難しい。


2点目:適材適所への人事異動

個人の能力・スキルを把握し、人事異動で適材適所の配置が可能となる。


3点目:業績UPにつながる

人事評価制度では、わが社が求める人物像から評価表(評価シート)に落とし込まれるため、業績UPにつながりやすい。
人事評価制度にはバリュー評価やコンピテンシー評価や360度評価や目標管理(MBOやOKR)がある。
よく使われているMBOとは、自ら目標を設定し、達成度で評価をする手法で、「Management By Objectives」の略称である。
MBOの代表的な評価項目として、「能力開発目標」「職務遂行目標」「業務改善目標」「業績目標」の4つがある。
メリットは、自分で目標をたてることができるので、モチベーションUPにつなげやすい。
デメリットは、低い目標を設定し達成度をあげる場合がある。目標設定の公平性が担保しにくい。


賃金制度は主に以下の5つにわけることができる。
1.年功給 2.能力給 3.役割給 4.職務給 5.成果給


  • 1.年齢給・勤続給

    年齢や勤続年数に応じて給与があがるため、評価が低くても毎年昇給する。
    終身雇用が減少していく中で年功給を廃止した企業が多い。
    メリットは、会社への帰属意識が高まりやすい。
    デメリットは、頑張らなくてもある程度人件費があがる。
    また、自分より能力が低くても年齢が上といということで、給料が高くなる。

  • 2.職能給

    職能給は社員を等級(グレード)に分け、等級に応じて賃金が決まる。
    メリットは、能力があがることによって賃金が上がる。社員のやる気を高めやすく、また多能工も進めやすい。
    デメリットは、社員の能力評価が難しい。

  • 3.役割給

    期待役割や貢献度に応じて賃金が決まる。
    メリットは市場や組織の変化に対応しながら成果主義に根差した賃金決定が行える。
    デメリットは賃金決定の根拠が曖昧になりやすい。

  • 4.職務給

    業務の種類やその責任度合い、また業務に対する成果に基づいて賃金が決まる。
    メリットは職務の内容のみで賃金が決定するので年齢や勤続年数に左右されない。
    デメリットは社員一人一人の職務記述書に基づき賃金が決まるため、職能以上に評価が大変である。また定時昇給がないため、離職が高まりやすい。

  • 5.成果給

    成果給は、業績や成果に対して賃金やボーナスが決まる。
    メリットは優秀な人材を確保できることや成果がでない社員に対しては賃金を抑えることができる。
    デメリットは成果が数値化できない職種においては難しい。

さいごに

タナベコンサルティングでは制度改訂のお手伝いをさせていただく際、最初から枠にはめることはせず、正しく現状認識を行い、(ヒアリング、現行制度分析等)自社にあったものが何か。
人事ポリシーを作成して、それを軸に一つ一つ丁寧に着手している。
他社でうまくいっていても自社でうまくいくとは限らないからである。
またいくら良い制度でも運用できなければ意味がないからである。
制度2割、運用8割を踏まえ、運用しやすい形で構築していくことをおすすめする。
もちろん透明性、公平性、納得性を担保しながら、社員の成長やモチベーションUPにつながるものでなくてはならない。

この課題を解決したコンサルタント

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