人事課題解決ノウハウ

働く社員のためのキャリア開発

社員の価値を最大化するために企業が実施すべきこととは

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キャリア開発を通じて自社の企業価値を高める人材を育成する

キャリアの定義と企業の取り組み

キャリアの定義と企業の取り組み

キャリアとは、一般的に「仕事」「職歴」「就職」「経験」などの様々なイメージで使われることが多く、 大雑把な意味で捉えられることが多い。しかし、厚生労働省が提唱しているキャリアの概念(※1)は、 『時間的持続性ないしは継続性を持った概念』として定義されている。 つまり、本来キャリアとは「就職」「出世」「現在の仕事」等の"一時点"の現状や結果を示す言葉ではなく、 現在に至るまで、またこれから目指す場所に関する"一連"の個人の「生き方」そのものを指している。

現代の企業において、社員のキャリアに働きかけを行うことが必要となっている。 では、なぜ個人の「生き方」であるキャリアに関して、企業の取り組みが必要となってくるのか。 企業の目的は永続的に発展していく事であり、そのためには①継続的に利益を上げる組織づくりと ②社員が社会に貢献していると感じられる体験づくりが重要となる。

そのためには、「他にはない」自社オリジナルの"付加価値"を見出すことが必要不可欠である。 つまり、その製品やサービスを生み出す社員一人ひとりに求めるものも、「誰もができること」ではなく 「その人にしかできないこと」となる。いかに社員が自身の提供できる付加価値を認識し、 自社においてその価値を培い発揮するか、が重要となる。

そこで、企業において、社員一人ひとりがキャリアについて考えるサポートや促進、 そしてその後の価値提供するための社内整備を行うことが必要となっている。
※1:厚生労働省『キャリア形成を支援する労働市場政策研究会』報告書

キャリア開発とは

キャリア開発とは

そこで、重要となるのが「キャリア開発」である。 「キャリア開発」とは、業務に携わるプロセスにおいて必要な知識やスキルを継続的に磨く事である。 キャリアを「デザイン」し、実行するための「プラン」を創り、「パス」を上がっていく事の一連を指す。

そのため、一般的に「キャリア開発」の中には、「キャリアデザイン」「キャリアプラン」「キャリアパス」が 包括されており、全ての要素が必要となってくる。それぞれの違いについては、下記のとおりである。
(1)キャリアデザイン:自身のキャリアを、所属する企業において主体的に設計すること
(2)キャリアプラン:キャリア形成のための具体的な行動計画
(3)キャリアパス:一つの企業の中で、目標とするポジション(役割)につくまでのステップ

「キャリア開発」を行うために実施することに関しては、個人の目線・企業の目線、それぞれの視点から 考えていく必要がある。

個人と企業の視点から考える「キャリア開発」

企業におけるキャリア開発を考えるためには、まず個人のキャリア開発に必要な事を知る必要がある。
個人・企業それぞれに分けて記載する。

1.個人の視点

個人の視点で重要となってくるのは、内的キャリアと外的キャリアの両面である。

内的キャリアの自覚
内的キャリアとは、自分にとって生きること、働くことの意味、意義を指す。なんのために働くのか、何を目的に 生きるのかという事である。内的キャリアを深めるために、社員の適切な自己理解、自己評価が最も重要となる。 個人の価値観を正しく理解し、自身の価値観に基づいて仕事に向き合うことが、自身のキャリアを考える中で 必要不可欠となる。
外的キャリアの選択
外的キャリアとは、具体的な職種や職業、役割などを指す。外的キャリアは外的要因(人間関係、仕事内容など)に 大きく左右されるため、焦点が当たりがちである。しかし、重要なのは内的キャリアをしっかりと押さえ、自身の 大事にする価値観を理解した上で、外的キャリアを選択することである。 自身が意味を感じることを含んだ仕事や働き方、環境を選択することで、キャリアは充実し、 価値を発揮できるようになる。

2.企業の視点

社員が正しく内的キャリアを自覚し、外的キャリアを選択できるように、企業が実施すべきことである。

企業の方向性を示す
組織の向かう方向性(ベクトル)と社員個人の向かう方向性(ベクトル)が同じでなければ、 いくら社員のキャリア開発を促進しても価値発揮には繋がらない。 タナベ経営ではよく「経営のバックボーンシステム(背骨)」と表現するが、経営理念からビジョン、事業戦略・経営戦略、目標、個人のPDCAまで、一軸通す必要があると提言している。そうでなければ、企業の目指す方向性とは 異なる方向に進み、成果が出ないという結果に繋がる。また、それを支えるためのHRシステム (人事評価制度、教育制度含む)に関しても同様に、理念・ビジョン・戦略から落とし込まれていなければ、 効果的な社員の育成には繋がらないと考える。

社員のキャリア開発をしても成果が出ない、という企業において、まずは企業の方向性と個人の方向性が 一致しているか、また、企業の方向性がきちんと社内に浸透されているか(誰もが共通認識を持てているのか) について、確認し、対処する必要がある。
体系立てた人材育成の実施
企業の方向性と個人の方向性を揃え、また社員が内的キャリアを自覚して外的キャリアを選択するためにも、 人材育成を体系的に実施していく必要がある。企業がどういう人材を求め、社員にどうなってもらいたいのかを 明確に決定し、それに沿った教育体系に応じて人材育成を行う。そうすることで、繋がりの無い研修ではなく、 一貫性があり、社員自身が何をすべきか明確に判断することができる。また、外的キャリアに影響を及ぼす 人間関係や環境に関しても、管理職層への研修を行うことで正しいマネジメントを実施し、改善することに繋がる。

また、近年では若手社員向けにキャリアを考えていただく研修を組み入れる企業が増加している。 自身の内的キャリアは何なのか、について徹底的に考え、自社における自身のキャリアデザインを行い、 価値発揮ポイントを考えていただく機会を提供している。若手社員は、体感的に感じていたこと、 もしくは、今まで考えたことが無いことを検討し、自身のキャリアを明確にしていく。
多様性を許容する制度の整備
人材育成により、社員が自身の内的キャリアを自覚し、外的キャリアを選択する際に、様々なパターンの働き方や 評価・処遇への反映が可能となる制度や体制を構築する必要がある。自身のキャリアを見つめなおすための人材育成や 職場づくりを行ったにもかかわらず、それが何にも反映することができないために、外部への人材流出に 繋がる事がある。社員が自社でのキャリアを描く上で、制度の整備は必要不可欠である。

キャリア開発に関して個人の視点と企業の視点で述べてきたが、企業においては自社の現状を明確に押さえ、 自社に合った社員の内的キャリア・外的キャリアへのアプローチを実行していっていただきたい。

この課題を解決したコンサルタント

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