人事課題解決ノウハウ

女性活躍の本質理解と、女性活躍推進に向けた3つの着眼点

女性活躍を実現し、多様性あるチームを創るための着眼点

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女性活躍は、経営者の旗印、そして全社一丸での取り組みが必須

日本における「女性活躍」の現状

少子高齢化による生産年齢人口の減少や、予測不能な社会経済環境下においては、人材の最大活用が求められており、そのためには多様な人材を確保し、活躍を促す 「ダイバーシティマネジメント」の推進が重要となっている。
その中でも特に、人口の半分を占める女性の活躍を推進するための取り組みは経営における最重要テーマであり、今後企業が持続的な成長を続けられるかどうかは、この女性活躍にかかっているといっても過言ではない。


しかしながら世界的に見ても、日本は女性活躍は遅れているのが現状である。世界経済フォーラムが実施した公表した「ジェンダー・ギャップ指数2021」では120位(156 か国中)という結果が出された。
総務省労働力調査によると、日本企業の管理職に占める女性の割合は14.8%となっており、政府が2003年に示した「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」という指針についても大きく未達成のまま終えている。


ちなみに、日本で「女性活躍推進」という言葉が本格的に使われ出したのは、2013年頃からである。
当時の安倍晋三首相が就任時に掲げた成長戦略の中に、「女性の活躍推進」が重要項目として盛り込まれ、第2次安倍内閣下における最重要施策の一つとなったことがきっかけとなっている。


その後2016年に施行され、2022年に全面改正された「女性活躍推進法」は、日本の女性活躍推進における最も重要な法律となっている。改正後は、「常時雇用の労働者数が101人以上の企業」に対して、女性活躍における情報公開などを義務付けており、日本の女性活躍の推進力が高まっていくことが期待されている。

女性活躍は「経営マター」であり、「トップの意志」である。

経営者及び経営幹部が、「職場では男性がコアな役割を担うべき」、「女性にはあまり困難な業務を与えないように配慮する」といった旧来の考え方を持っていては、女性活躍は困難といえる。
女性活躍は「経営マター」であり、「トップの意志」である。
多くの企業によっては人事部などが女性活躍推進の中核を担っているが、制度や環境の整備に留まっており、企業風土を変える事は難しい。まずは経営者自身が、ダイバーシティマネジメントや、女性活躍の重要性を理解し、なぜ女性活躍が必要なのかを認識することが全ての出発点である。
そして、目指すべき姿と自社の実態との差を知り、具体的なアクションプランへと落とし込んでいくことが求められる。その際に、自社の成長戦略と女性活躍の関連性が無ければ、女性活躍は単なるお題目となり、本質的な企業変革には至らない。
そのため、自社の成長戦略のための重要な手段として女性活躍を取り入れる必要があり、会社のビジョンを描き中長期戦略を策定する経営者が推進する事に価値がある。

女性活躍推進の3つの着眼点

女性活躍には大きく分けて3つの段階がある。「人材採用」、「人材定着」、「管理職登用」である。


1.女性人材"採用"の着眼点
「正社員・総合職・管理職候補として、男性人材と同基準で採用できているか?」、まずはこれを自社に問うてほしい。
(株)CHANCE for ONEの調査によると、就業者の男女比は、男性57:女性43であるが、正社員比率は、男性69:女性31。正社員かつ総合職では、男性82、女性18と差が開いてくる。そもそもの入口の時点で、性別で差が付いているというのが日本の現状である。

企業が女性人材を重要な戦力とみなし、男性と同基準で受け入れていくのは、女性活躍推進における第一ボタンである。
正規社員かつ総合職での採用が18%であれば、女性管理職の割合が少ないのも至極当然である。


2.女性人材"定着"の着眼点
女性人材の就業継続のためには、次のようなことを確認してほしい。「年齢に関わらず、女性人材に十分な成長機会、教育機会は与えられているか?」、「女性が安心して働き続けられる風土・制度は整っているか?」、「結婚・出産を機に就業意欲、モチベーションが低下していないか?」。

女性人材は男性社員に比べて、多様な働き方(キャリアプラン)や制度を望んでいる。これを十分に理解し、女性人材を受け入れる十分な体制・制度・方針を整え、結婚・出産を経ても働き続けたい、育児と両立しながらでも働きたい、と思えるような会社文化を育む事が重要である。これらはまさに「働き方改革」にも繋がる。


3.女性管理職登用の着眼点
ハーバード大学の社会学者であるロザベス・モス・カンターが提唱した「黄金の3割」理論によれば、組織の中でマイノリティの割合が3割となった時に、組織全体の文化が傾くといわれる。つまりは、女性管理職の割合が30%以上になって初めて、本当の意味で女性人材の視点が経営の意思決定の反映され、女性視点でのイノベーションが起こる。

女性管理職の割合を増やしていくためには、女性人材を男性と同基準で採用し、女性人材が就業継続したいと思える体制・制度・方針を整え、成長機会を積極的に与え育成していく必要がある。そのためには、中期経営計画などに女性活躍推進の目標をしっかりと盛り込み、経営者の旗印の元、全社一丸となって取り組んでいく必要がある。

女性活躍を促進させる企業の研修事例

女性活躍を推進していくためには、女性人材本人の「育つ力」と、上司・先輩の「育てる力」、この2つが同時が育まれていかなければならない。


タナベコンサルティングでは、女性活躍を推進していくための研修も多く手掛けているが、代表的なものは下記の通りである。


1.女性人材本人の「育つ力」を育む研修
(1)女性一般・中堅社員の活躍を促す『女性活躍キャリアアップ研修』
(2)女性リーダー育成のための『女性リーダー候補育成研修』
(3)女性役員を育て、女性キャリアのロールモデルをつくるための『女性管理職研修』


2.上司・先輩の「育てる力」を育む研修
(1)女性の部下を持つ管理職向け『女性活躍推進のためのダイバーシティ研修』
(2)女性人材のモチベーションを高め、成長意欲を促進する『1on1研修』
(3)無意識の偏見に気付き、多様性あるチームづくりを促進する『アンコンシャス・バイアス研修』


女性人材の育成は、女性人材本人と、その上司・先輩の二人三脚での取り組みが欠かせない。
例えば、本人とその上司が一緒に研修を受けて、一緒に成長目標を決めていくなどの研修も大変有効である。
いずれにしても、会社が本気で女性活躍に取り組んでいること、そのために、会社も管理職も変わっていかなければいけないことを伝えることが大切である。

この課題を解決したコンサルタント

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