人事課題解決ノウハウ

次世代の経営モデルであるパーパス経営の本質理解

パーパスを軸に内発的に湧き上がる組織集団としての価値

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浸透を前提としてパーパス経営を取り入れよう!

パーパス経営とは

パーパス経営とは

ESG投資の進化、Society5.0の加速、SDGs時代のメガトレンドがキッカケとなり、昨今「パーパス経営」がトレンド入りしていることは周知の事実である。遡ると筆者が最初にパーパス経営の存在に触れたのは、2018年に世界最大の資産運用会社であるブラックロック社CEOのラリー・フィンク会長兼CEOが「これからの企業は優れた業績のみならず、社会に対してどう貢献できるかを示していく必要がある。」と公表した一文がキッカケであった。それからものの数年で、組織と個人の関係性は明らかに変化し、経営に対する軸も変化の一途を辿っていると言える。

これまで①ミッション(使命)→②ビジョン(目指す姿)→③バリュー(価値観・行動指針)を主軸として展開してきた20世紀の経営モデルから①パーパス(志)→②ドリーム(夢)→③ビリーフ(信念)を主軸とした展開へ変わりつつある事を日々のコンサルティング現場でも実感している。次項よりそれぞれ掘り下げて考察していきたい。

パーパス・ドリーム・ビリーフの関係性

まず大前提として、従来からあるミッション・ビジョン・バリューが悪いわけではない。
ポイントはそれぞれが生み出された背景(経緯)や解釈にある。 単なる理想やあるべき姿を描いたミッション・ビジョン・バリューでは、当然組織には根付かず、絵に描いた餅で終わるケースは多いと言える。 現にミッション・ビジョン・バリューが外発的に発生し、美化され過ぎている企業が多いことも理由の一つであると 考える。

そこで分かりやすく言語化した概念がパーパス経営の軸となるパーパス・ドリーム・ビリーフである。パーパス・ドリーム・ビリーフは内発的動機づけであり、内側から湧き上がってくる強い想いの集合体である点がミッション・ビジョン・バリューとの大きな違いである。

一つ一つポイントをみていこう。
パーパス:パーパスとは社会に与える価値であり、心底追求し続けたい目的のことを指す
ドリーム:ドリームとは直訳すると夢であり、社員一丸となって叶えていきたいリアリティある夢のことを指す
ビリーフ:ビリーフとは自分たちが組織として存在していく中で譲れないこだわりや強い想いを指す

これらが組み合わさり、パーパス経営の軸が整う訳である。

ここまで読み進めて頂き、お察しの方も多いと考える。 実際には、ミッション・ビジョン・バリューをパーパス・ドリーム・ビリーフのような解釈で運用している 企業にとっては何ら目新しい概念ではないのである。

繰り返しになるが、大切なのは、背景や解釈であり、内発的動機づけである。

各社における経営モデルに対する解釈がパーパス・ドリーム・ビリーフ軸になっているかを 改めて押さえて頂きたい。【図表1】

【図表1】 パーパス・ドリーム・ビリーフの関係性

次項からはパーパス浸透プロセスについて記載をする。

パーパスの浸透プロセス

ここからは、パーパスに対して社員一人一人が自分ゴトとして昇華されていくステップを共有していきたい。 当然ながら、いきなり全社員が同じ熱量でパーパスに対して共感できる訳ではない。 組織の人数が多くなればなるほどなおの事である。

押さえるべきポイントは、社員一人一人がパーパスに対する認識段階が違うことを前提に、段階別のアプローチを意識していくことである。以下それぞれのステップを押さえていただきたい。

STEP1:認知
認知段階ではそもそもパーパスの存在を知らない方が多く、仮に知っていても、 何となく目に留まっている状態で留まっているケースが多いため、存在認識がスタートとなる。
STEP2:理解
理解段階では、中身は知っているものの、正確に理解できていないケースが多く、 自身の仕事とも紐づいていない場合が目立つ。 改めて自社が掲げるパーパスとできれば少人数形式で向き合い、理解を深められる環境を 整えていただきたい。
STEP3:共感
共感段階では、自身の仕事との繋がりを見出し、意味づけていく段階である。 意味づけた自身の仕事との繋がりを共有し合うことで更にバイラル(拡散)されていく。
STEP4:行動
行動段階では、組織パーパス実現に向けてという軸で日常行動や優先順位ができるように なってくる。模範的行動は組織としてピックアップしていくことがおススメである。
STEP5:伝播
伝播段階では、組織パーパスの本質的な意味合いについて、自身が主となり、わかりやすく 発信するようになる。この段階では、自身も辿ったステップを根拠に、社員一人一人が どの段階で躓いているかを冷静に押さえて頂くことが重要である。
パーパスの浸透プロセス

ここで1社事例を紹介したい。
関西(大阪)のクライアント先では、パーパス浸透プロセスの理解・共感レベルを高めるべく、経営者と少数の社員による共感型・対話形式のパーパスプロジェクトにて、組織のパーパスと個人のパーパスを繋げる時間を毎月捻出して実施しており、明らかな浸透変化を実感している。
この取り組みの成功ポイントは社員の声から生み出された企画であり、強制ではなく、共感型のプロジェクトである点である。(当然共感型に促すファシリテーションも重要である。)

人は「やらされてやる」よりも、「自ら湧き上がってやる」方が効果は何倍も高い。

新たな時代のパーパス経営は内発的に湧き上がる組織集団を生み出すヒントになると言える。

この課題を解決したコンサルタント

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