FCCマネジメントレター:2016年09月23日
今週のひとこと ブランドは一日にして成らず。 だからこそ、ナンバーワンブランドづくり に早く着手しよう。 |
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◆社長・戦略リーダー『2,000人』アンケート
成長している企業の「ブランディング」はここが違う!
今年6月~7月に開催いたしました「ファーストコールカンパニーフォーラム2016」のサマリー&アンケートレポートを公開いたしました。
テーマは『ナンバーワンブランド』。
レポートの内容を少しだけご紹介いたします。
Q. ナンバーワンと呼べる商品・サービスがありますか?
『41.4%』の方が「ある」という回答でした。
(「ない」は、20.3%)
"日本一高い山は?"と聞かれたら、大半の人が富士山と答えるでしょう。しかし、"2番目は?"と聞かれたら、答えられる人は少ないのではないでしょうか。
ちなみに、ナンバーワンと呼べる商品やサービスがある、と回答された企業は、そうでない企業と比較して明るい業績見通しでした。
今回は、アンケート結果から企業の実態を分析するとともに、どのような着眼で『ブランディング』に取り組んでいけばよいかを、レポートにまとめました。
これからのブランディング活動に、ぜひご活用ください。
戦略総合研究所 戦略サポート
藤坂 賢年
新規事業の創造のポイントは「最先端に触れること」
「わが社は祖業にこだわる」「本業以外には手を出さない」。そう言って、かたくなに新規事業を拒む経営者が少なくない。確かに、創業以来の事業を守り続ける老舗企業はある。だが、1つの事業で存続していける企業はまれである。奇跡に等しいといってよい。
企業が成長を続けるには、新規事業に取り組むことが不可欠だ。よく「企業の寿命は30年」といわれるが、これは"事業の寿命は30年"ということでもある。新たな事業を生み出すことが、30年、50年、そして100年と自社を存続させる条件となる。
では、どのような新規事業に取り組めばよいのか。
代表的な方法に「FC(フランチャイズ)」がある。異業種から参入する際は、最も立ち上げが早いスタイルといえる。例えば、建設会社が外食業や介護事業のFCに加盟するケースなどがよく見られる。ただしFCの場合、ビジネスモデルの陳腐化も早い点に注意しなければならない。より優れたビジネスモデルのFCが次々に出てくるからである。
また、政府の助成金が付く新規事業への参入も多い。この場合に注意すべき点は、事業がある程度の規模になった段階で助成がなくなってしまうことだ。例えば、現在の再生可能エネルギー発電事業などである。
では、どのような着眼で新しい事業を創造することが望ましいのか。筆者が見たところ、新規事業を成功させている経営者の共通点は、最先端の技術や商品を活用していることである。製造業でいえば、3Dプリンターや小型ドローン、ロボットの活用が挙げられる。
もちろん、最先端のものを導入したからといって、すぐに収益が生まれるわけではない。だが、いち早く活用することによって新しい技術や商品を知り、他社よりも理解を深めることができる。また、そうした技術や商品は大きな周辺マーケットを創造する。スマートフォンのケースや画面保護フィルム、電気自動車のバッテリー関連部品などがそれに当たる。ここに目を付けるのも一策だ。
戦国時代、最強とうたわれた武田騎馬隊を織田信長の鉄砲隊が撃破したように、時代を新しく創造する人は、常に新しい技術や商品に敏感である。そして最先端の技術・商品に触れることによって、従来のモデルを変えてしまうほどの革新的な発想をする。
自ら最先端の技術・商品に触れ、世の中の変化を実感して自社に取り入れる。これこそが独自性のある新規事業を展開できるポイントといえよう。
■筆者プロフィール
タナベ経営 コンサルティング戦略本部 中部本部長
槇本 康範 Yasunori Makimoto
戦略立案・企業再建の分野を中心に、中部地区における数多くの有力企業コンサルティングで実績を残す。特に、製造業の戦略策定、事業展開においては独自のノウハウを持ち、新市場の開発・開拓で多くの成果を挙げている。昨今は事業承継に伴う後継体制コンサルティング、大企業・中堅企業のコンサルティングも多く手掛け、収益構造と体質転換のスペシャリストとして活躍している。
地域医療に貢献できる「考える集団」をつくりたい
五洋医療器 代表取締役社長 小坂 正記 氏
3つの事業をリンクさせ地域の健康向上を目指す
五洋医療器は1979 年の設立以来、広島県福山市を中心に、地域医療の向上実現に邁進(まいしん)する「医療機器の総合商社」だ。事業の2 本柱は医療機器販売と調剤薬局。加えて、2015 年には介護用品レンタルを新事業として立ち上げ、医療と介護をリンクさせたシームレスなサービスの提供に取り組んでいる。
業界では事業を個別に展開する企業が多い中、同社は医療機器販売と調剤薬局と介護用品レンタルを相互にリンクさせて強みを生み出そうとしている。超高齢社会の到来とともに医療を取り巻く環境が大きく変化し、顧客のニーズも変わってきているからだ。
代表取締役社長の小坂正記氏は、「医療と介護の垣根がなくなりつつあります。これまで培ってきた医療機器販売と調剤薬局のノウハウに介護用品のレンタル事業をリンクさせ、総合的に地域の健康の維持・向上に寄与したいと考えています」と語る。
社長就任で人材育成の必要性を痛感
創業社長が会長に退き、小坂氏が社長に就任したのは2013年のこと。当時の小坂氏は、社内体制の整備と人材育成の必要性を感じた。多くの企業と同様、五洋医療器も創業社長のカリスマ性が成長を推進してきたが、今後はチームで事業を運営していくことが不可欠だと考えたのである。
「さらなる成長に向け、私と志を同じくする人材の育成が必要だと思いました」(小坂氏)
ちょうどそのころ、タナベ経営の提案を聞く機会があり、次世代の幹部や自分のブレーンとなる人材の育成が急務であることを確信したという。
そこで、まず小坂氏自身が力を付けるため、タナベ経営の「後継経営者スクール」に参加。「8カ月間のカリキュラムは、宿題も多くて大変でしたが、学ぶことが多かった。苦手な分野もはっきりしました。特に財務面です(苦笑)」と当時を振り返る。
他社の人事考課制度を知ることができるのも大きなメリットだった。「(共に学ぶ)他社の後継者の考え方や計画、発表を聞くのは初めての経験。社長としての心構えが変わりました」と小坂氏。同期の受講者とは今も付き合いが続いており、同じ志を持つ人との交流は財産になったと強調する。
研修はビフォー・アフターが肝心
その後、社員をタナベ経営の「幹部候補生スクール」や「中堅リーダー革新セミナー」に参加させたほか、ジュニアボードの取り組みも行った。しかし、小坂氏が目指す人材育成の取り組みに対し、社員が反発するケースがみられたという。
教育に当たっては、あらかじめ目的を明確にし、学んだことをどう生かすのかを示さなければ、社員はただ「負担が増えた」としか考えない。「コンサルタントに任せれば、社員を育成してもらえるのだと思っていました。でも、そんな姿勢ではダメだと気付いたのです」と小坂氏は言う。学ぶ意義を諦めずに伝え続けたかいもあり、「近ごろは『参加して良かった』との意見もよく聞くようになりました」と、社員の意識が変わってきたことを実感している。
「当社はずっとトップダウンでやってきましたが、これからは『社員が自ら考える集団』になってほしい。セミナーなどに参加する人材も、社長が選ぶだけでなく、チームリーダーに推薦させるようにしています」(小坂氏)
今後については、「医療・介護はまだまだ伸びる分野です。地域に貢献し、社員にも幸せになってもらえる会社になりたい。そして、モノではなくコトが売れる人材を育成したい。研修やセミナーがそのきっかけになれば価値があります」との考えを示す。さらに、「厳しいながらも楽しい会社にしたい。社員の子どもたちから、『お父さん・お母さんの会社で働きたい』と言われるような会社を目指したいですね」と展望を語る。
誰もが元気で幸せに暮らせる地域社会の実現を目指す―。同社の「考える集団」づくりに向けた取り組みは、これからも続く。
PROFILE
- 五洋医療器株式会社
- 所在地: 〒721-0961 広島県福山市明神町2-2-30
- T E L: 084-926-5050
- 設立: 1979年
- 資本金: 1000万円名
- 売上高: 55億円
- 従業員数: 87名
http://www.goyoh-medical.jp/
タナベ コンサルタントEYE
医療業界の業界構造が大きく変わる中、企業・組織・人はどう変化すべきかというテーマに真正面から向き合っている五洋医療器。同社はタナベ経営が提唱する「企業は環境適応業」を体現している。小坂氏は環境変化に対応するための「人づくり」にさまざまなアプローチを試み、壁にぶつかりながらも前に進むことを諦めない。その姿勢が確実に社員へと伝わり始めている。今後も小坂氏の「思い」や「志」に共感する社員が増え、強い企業へと成長していくことだろう。
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