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今週のひとこと

社員は同志である。一方的な指示命令だけ

ではヤル気も自立心も育たない。

目標を共に達成してゆくために、意志疎通

を怠ってはならない。





☆ 後継経営者が見落としてはいけない大切なこと

様々な調査機関が社長の平均年齢を分析・発表していますが、社長の平均年齢は60歳近くとなり、過去最高を更新しています。この状況から、次世代体制の構築という経営課題に直面している企業は少なくないでしょう。

筆者のクライアントも次世代体制を構築している企業が多いです。
そこで後継経営者(以下、トップ)が陥りやすいのが、事業を受け継いだトップの改革スピードと社員のスピード感にズレが生じ、会社が疲弊していくケースです。
トップの危機感や成長ビジョンは間違っておらず、対策も正しいことがほとんどです。
一方、社員は一生懸命に取り組んでいるのですが、業務量が増え、対応しきれない状態に陥ってしまいます。結果としてトップは社員のスピード感に焦燥し、社員の間には諦めムードが漂います。そうして、業績も風土も悪い方向に進んでいってしまうというケースです。


このような症状に陥らないため、トップが見落としてはいけないポイントが2つあります。
1つ目は、組織を動かす前に「人心の掌握」をすることです。「人心の掌握」ができていない組織は沈黙します。
あなたに都合の悪い情報が真っ先に入ってきていますか?


2つ目は、任せる社員の業務を棚卸することです。社員の業務が滞るということは、任せ方にも問題があると言えます。
社員の能力が低いとぼやいていませんか?


改革のスピードを緩める必要はありません。しかし、トップの想いを社員の協力を得て実現することが経営です。この原則を外しては、素晴らしいプランも絵に画いた餅となるでしょう。ぜひ、社員と本音で語り合い、目線を合わせて次の世代を切り拓いていただきたい。

コンサルティング戦略本部
チーフコンサルタント
湯山 卓





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「借金」を現実的に考える


2016年2月に日銀がマイナス金利政策を導入してから約5カ月になるが、大手企業以外に借入金利の恩恵はない。金利がもったいないから、できるだけ借金をしない。無借金であることを自慢する企業もある。

しかし、景気は良いときもあれば悪いときもある。経営環境が悪化し、売り上げが下がるたびに金策に走り回るようでは、事業に専念できない。非上場の中堅・中小企業は、たとえ自己資金で賄えたとしても金融機関から資金を借り、経営活動に投資して実績を積み上げる方が現実的である。

それは、なぜか。資金を貸す金融機関の立場で考えてみていただきたい。毎月、約束通りに返済を行って10年になるA社と、預金をしているが借入金はなく、従って返済したこともないB社。同時期に借り入れを申し込まれたら、限りある貸出資金をA社とB社のどちらに貸すか。当然、選ぶは長年の取引実績(=信用)があるA社である。

B社は財務体質が良いと主張し、書類上はその通りだが、突然、借り入れを申し込んできたのはなぜか。何か良からぬことがあったのかと金融機関は疑念を持つ。マイナス金利政策の影響で融資先を求めていても、焦げ付いて回収できなくなる可能性がある企業には貸せないと判断するだろう。

「必要がないのに資金を借りて金利を払うなんてばからしい」と思うかもしれない。個人で借りるならその通りだが、企業の場合は異なる。いざというときに融資を受けられるかどうかは、日頃の信用次第だからである。

金利を惜しむより、借り入れをして実質無借金(手元資金が借入金を上回っている状態)にしておくことだ。チャンスに備えてフリーキャッシュを持っていると考えればよい。

融資を受けるメインバンクは、自社の規模に合わせて選ぶことをお勧めする。「この企業のメインバンクは自行だ」と考えてくれる金融機関である。複数行と取引し、競争原理が働く状況をつくっておくことも重要だ。

また金融機関は、貸した資金がどう使われたのか、社長が言っていることにうそがないかを知りたい。故に運送業C社は、自社の活動実績を毎月銀行に報告し、年度経営方針発表会に銀行の支店長を招待している。こうした信用の積み重ねにより、C社は最初に付き合った1行を除き、7行から無担保・無保証で資金を調達できている。

金融機関と信頼関係を築くことは、企業経営のリスク対策でもある。金利だけに目を向けず、長く安定して付き合っていけるかどうかを考えていただきたい。


■筆者プロフィール
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タナベ経営 コンサルティング戦略本部 北陸支社長
田中 佳珠宏 Kazuhiro Tanaka

経営・財務・人事分野を中心に、中小企業から大手企業まで数多くのコンサルティングを展開。 同時に、幹部人材教育でも活躍。独特の語り口と本質を突いたアドバイスが高い評価を得ている。 増益戦略構築・推進や人事システム構築に定評がある。






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感謝を携え、顧客から信頼される企業を目指す

佐藤部品商会 代表取締役会長 佐藤 敏雄 氏
佐藤部品商会 代表取締役会長 佐藤 敏雄 氏

福島県いわき市に本社を置く佐藤部品商会は、福島県内に5拠点を構える自動車部品の卸売会社である。

本社の流通センターは、約3000坪の広大な倉庫に2万点の自動車部品が整然と並ぶ。この豊富な部品在庫と、顧客(自動車整備工場など)の注文に対し「どこよりも早く」部品を届ける即納供給体制を確立している点が、同社の最大の特長である。

「苦しい時期を支えてくださったお客さまにお応えするため、最良のサービスを提供したい。そう考えて出した答えが、最速で注文にお応えすること。センター方式は私の夢だったんです」

代表取締役会長の佐藤敏雄氏は、顧客への感謝を隠さない。

自動車産業の荒波を乗り越えて

佐藤部品商会は1961年創業。当時の自動車産業は黎明(れいめい)期で、決して今日のような発展が約束されていたわけではなかった。その中にあって、いわき市で古くから家業を営んできた佐藤氏の一家は地域の太いつながりを支えに、オイルショックをはじめとする数度の経営危機を乗り越えてきた。

自動車部品流通業界は、現在、自動車メーカー系のディーラーによるエンドユーザーの囲い込みが進んでおり、一般の整備工場はそれに負けないサービスを求められている。自動車修理用部品を供給する同社が提供する即納サービスは、そんな整備工場にとって強い後押しとなっている。

2008年に流通センターをオープンした当時の年商は8億8000万円。それから7年後の2015年8月期現在で15億円を超えた。この成長が、同社に対する顧客の評価を端的に示している。

若手を積極的にセミナーに派遣

一方、従業員数は、センターがオープンした当時が50名で、2016年5月現在は65名。年商が伸びても大量採用せず、慎重に従業員数を増やしてきた。

「急激に会社の規模を大きくすると、人の成長がついてこない。これは私の持論です。だから、ブレーキを踏みながら社員の成長を促していきたい。規模の拡大は、それからでいいんです」と佐藤氏は笑みをこぼす。

「会長となった今、最も大切な仕事は社員教育」との考えから、自ら教育係を買って出た。社内研修をたびたび開くほか、「新入社員教育実践セミナー」などタナベ経営のセミナーも積極的に活用。2015年に社長に就任した長男・功氏が受講した「戦略リーダースクール」をはじめ、部長クラスを対象とした「幹部候補生スクール」、現場のマネジャーが対象の「中堅リーダー革新セミナー」などに、佐藤氏が見込んだ人材を毎年派遣している。

特筆すべきは、受講する社員の年齢だ。通常、幹部候補生スクールに参加する受講生の平均年齢は40代だが、同社は20代の若手社員も派遣している。

「少しでも頭が柔らかいうちに、ビジネスパーソンとしての考え方を学んでほしいと思ってのことです。学ぶ内容は、本人の現在の仕事に直結するものではないかもしれません。すぐに仕事に臨む姿勢が変わることも期待していません。でも、それでいいのです。いつか学んだ知識や手法を活用できる場面が必ずきます。もちろん、人間ですから、忘れることもあるでしょう。そこは繰り返しです。教育は一生のことですから」と自身の哲学を語る。

お客さまの一番のパートナーになる

新入社員には、タナベ経営が発行している『基本動作ガイド』を貸与し、朝礼時に2ページずつ唱和(当番制)することも欠かさない。

「社会人としての基本動作がきちんとできれば、お客さまに信頼され、社内でも信頼されるようになります。そうすれば自動的に売り上げが上がり、当然、給料も上がっていく。若い社員にはそう話しています。

お客さまの一番のパートナーになるためにはどうすればよいかを、社員一人一人が考えられるようになることが重要です。そうすれば、これから先、市場動向がどう変化しても必ず会社は伸びていけるでしょう」(佐藤氏)

PROFILE

  • 株式会社佐藤部品商会
  • 所在地: 〒972-8316 福島県いわき市 常磐西郷町銭田107
  • TEL : 0246-88-6775
  • 創業: 1961 年
  • 資本金: 1000 万円
  • 売上高: 15 億円(2015 年度8 月期)
  • 従業員数: 65 名(2016 年5 月現在)


タナベ コンサルタントEYE
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佐藤部品商会は、多額の負債を抱えた時期を1人の解雇者も出さずに乗り越え、県下有数の自動車部品卸売会社に成長した。「事業の発展には人材育成が欠かせない」との思いから、若い社員に異業種交流・相互研鑽(けんさん)の場を提供しつつ、佐藤会長が自ら教育に当たる。「会長の仕事は人事と教育」という言葉には、次代を担う若者を自らの手で育てたいとの情熱があふれている。

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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所