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今週のひとこと

事業経営はライバルとの対決である。
顧客の期待を超える満足を常に
提供しよう。

☆ BtoB企業のWeb活用における3つのポイント

 昨今、BtoB企業のリード(見込み客)獲得活動は、従来の営業活動によるプッシュ型から、問い合わせを獲得するプル型へと変わりつつあります。この変化の中で、Web活用の重要性はますます高まっています。
 今回は、これからWeb活用を強化し営業活動の効率化を図りたいという方に対して、自社のホームページを軸としたWeb活用戦略における重要なポイントを3つご紹介します。

 まず1つ目は、ターゲット設定と提供価値の明確化です。
 Web上においては、想定する見込み客の範囲を広げれば広げるほど、自社のサイトは目にとまらなくなるという特性があります。
 自社サイトの役割は、情報収集、比較といった顧客の購買検討フローの中で、どの段階の層をターゲットとするのかを明確にしなければいけません。そして、そのターゲットに対して提供する本質的な価値をWeb上で表現するのです。

 次に2つ目は、PDCAを継続させることです。
 Webプロモーションの特徴の一つに「効果測定性」があげられます。一般的に普及している解析ツールで、ユーザーのWeb上の動きを可視化することができるのです。例えば、自社のホームページにどういった属性のユーザーが、何をきっかけに来訪し、ホームページ上をどのように動いたのかを高い精度で把握することができます。この特性を最大限に活用することが、Web施策の成否を大きく左右すると言っても過言ではありません。「ホームページをリニューアルしたので、うちの会社のWeb活用は上手くいっている」と言われる方がたまにおられますが、Webを活用するということはそういうことではありません。
 定期的にユーザーのWeb上の行動を検証し、適宜対策を打つためのPDCAを継続させることが必要です。

 最後3つ目は組織の理解です。
 BtoB企業におけるWeb活用はビジネスモデル変換の可能性を秘めた課題でもあります。単なる顧客創造の手段として一部門や、特定のメンバーだけではなく、経営課題として捉え、全社一丸となって取り組むことが必要です。そのためにも経営陣がWeb活用の重要性をしっかりと理解した上で、経営資源を適切に配分し、全社員がWeb活用の目的を共有し連携していくことが必要です。

 「ホームページはあるものの、問い合わせが来ない」「自社名での検索でしか上位に表示されない」・・・。もしそのような状況でしたら、一度Web活用の方向性を見直してみてはいかがでしょうか。

SPコンサルティング本部
部長代理
木ノ下 哲也

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一人一人の学びを促し
「お客様の役に立てる」企業に

創業50周年を迎える総合パッケージングカンパニー

パッケージに引かれて思わず商品を手にする、いわゆる「パケ買い」をした経験がある人は少なくないだろう。

福岡県久留米市に本社を構える丸信はそうしたパッケージの製造販売企業だ。食品メーカーのパッケージ印刷で九州トップクラス、シール印刷では全国屈指の規模を誇る。

1968年、進物用シイタケの木箱製造から始まった同社は、包装資材卸を経てシール印刷へ進出。1990年にはM&Aにより、パッケージ印刷へと業容を広げてきた。現在は九州、広島、東京に10拠点と、2社の子会社を有する。

「お客様への感謝」「お客様の業績向上への貢献」を企業理念に掲げる通り、「『お客様の役に立てる会社になる』ことが経営の基本的な考え」と話すのは、3代目社長の平木洋二氏。

「社員にはお客様の利益を優先し、良いデザイン、高い品質、コスト削減などに力を注いでほしいと考えています。売り上げや利益目標はありますが、その達成を厳しく求めることはないですね。こうした数字は自社の都合で、お客様には関係ないですから」

平木氏はそう話すが、同社の売上高が前年実績を下回ったのは創業してから1度だけ。あとは一貫して増収を続けてきた。その実績があるのは、顧客の役に立ちたいという思いで絶えず進化を遂げてきたからに他ならない。

丸信 代表取締役社長 平木 洋二氏

丸信 代表取締役社長 平木 洋二氏


一人でも多くの社員をスターに

人材育成への考え方として、平木氏は「一人でも多くの社員をスターにするのが目標。教育や経験を積み、お客様や世の中の役に立ってもらいたい」と言う。そのため、委員会、プロジェクト、改善活動の発表会など、社員が脚光を浴びる場を意識的に作り出している。

委員会はコスト削減、品質向上、CS(顧客満足)、新製品開発など10のテーマを設けて開催。積極的に若手社員を委員長に抜擢しているのは、「早いうちから経営に参画してもらい、『自分の会社』という気持ちを持ってもらいたい」思いからだ。

委員会のテーマが自社の課題解決と直結するのに対し、プロジェクトは顧客への提供価値を高めるテーマが中心。具体的には通販、食品衛生管理の支援などで、例えば食品衛生管理の一環として、専門資格を持つ社員が顧客企業にアドバイスや指導を行い、HACCP(ハサップ)の取得を支援する。プロジェクトへ取り組む際、「お客様への提供価値向上に直結するので、社員は皆、いきいきしている」と平木氏はほほ笑む。

2017年10月には、取引先中心に自社工場を見学してもらうオープンハウスを実施。前述のHACCP取得支援、通販の仕組み、DM(ダイレクトメール)活用と成功事例など、顧客先のビジネスに直結するセミナーも併せて開催し、2日間で約800名が訪れるなど好評だったという。「実際に工場や本社を見てもらい、当社の事業の幅を知ってもらうよい機会になった」と平木氏。2018年も11月に開催予定だ。


人材育成こそ最大の福利厚生

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商品の魅力を伝える丸信のパッケージ(右)
「丸信アカデミー」など多様な教育メニューを提供し社員の成長を支援している(左)

「人材育成こそ最大の福利厚生。社員にできるだけ多くの教育の機会を与えたい」(平木氏)との考えから、同社ではさまざまな教育メニューを提供している。

顧客企業の仕事を手伝い、顧客目線を養う「お客様研修」、週1回気付いたことを報告する「気づき提案制度」、指定図書の感想をメーリングリストに挙げる「輪読会」はその一例だ。

また、丸信が企業内大学「丸信アカデミー」を開校したのは2017年。社員が講師を務める動画で学べる仕組みで、1本30分の動画にまとめている。内容は印刷の基礎知識、デザインの流れなど合計約40本に及ぶ。社員は場所を選ばず、学びたいときに繰り返し受講することが可能だ。

「これまでは場当たり的な研修が多く、年次ごとに必要な教育を体系立てて実施する仕組みが構築できていなかった。当社の"知見の集まり"として、アカデミーでコンテンツを蓄積できれば」(平木氏)

アカデミーには基礎的なコンテンツのほか、「失敗談」「業界別の攻略法」といった独自のコンテンツもそろえる。今後もさらなるコンテンツの充実を検討中だ。「受講者層を広げていくのが課題。将来的には階層別のカリキュラム構築も視野にある」と平木氏は語る。

女性が働きやすい環境づくりにも力を入れる。11月には「丸信インターナショナル保育園」を開園予定(運営は外部専門会社へ委託)。英語をベースとした幼児教育、病児保育の受け入れや同社独自のデザイン教育などを行う予定だ。社員だけでなく、地域の人々にも利用してもらいたいと、女性役員が中心となり開園に向けて準備を進めている。

これからも「お客様の課題を解決し、一つ一つできることを増やしていく」と平木氏。すでに販路づくりや人手不足に悩む顧客の課題解決に向け、食品通販サイト開設や、大手求人サイトを使った顧客企業の人材募集に取り組み始めている。「真にお客様の役に立つ」ため、既存事業の枠を超え、同社の進化は続く。


タナベ経営より

福岡県は、食料品製造業の事業所数(924事業所)が全国5位、出荷額(約9920億円)は同10位と全国有数の食品メーカー集積地である。その福岡に本社を構え、食品メーカーへパッケージを提供するのが丸信だ。
モノを包むパッケージは、商品価値を顧客に正しく届ける「無言のセールスパーソン」。同社は社員一人一人の感性と最先端のデジタルを融合し、価値の可視化のプロフェッショナル企業として成長を続ける。
平木社長は常に先を読み、素早い判断でヒトとモノに積極投資を行っている。成長企業は同社のように、持続的に未来へ投資するものだ。今後、どのような付加価値を生み出すのか、同社の活躍から目が離せない。
※ 経済産業省「工業統計調査(2017 年確報)」

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経営コンサルティング本部
部長 チーフコンサルタント
中尾 泰彰

PROFILE

  • ㈱丸信
  • 所在地:〒839-0813 福岡県久留米市山川市ノ上町7-20
  • TEL:0942-43-6621(代)
  • 設立:1968年
  • 資本金:4500万円
  • 売上高:87億1000万円(2018年2月期)
  • 従業員数:441名(2018年2月現在、パート含む)
  • 事業内容:包装資材販売、シール印刷加工、紙器印刷加工、その他商業印刷
  • https://www.maru-sin.co.jp/

新規顧客の開拓、採用応募者の流入。
2つを成功に導くHP戦略と、
全社参加型の制作プロジェクトで得た新境地

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電気設備の安全な稼働を支える配電盤

新潟県長岡市に本社を構える大和電機産業は、電気が流れる量やタイミングを調整し、電気設備を安全に稼働させる配電盤を製作している。具体的には、電力会社からの高圧の電気を受電し、必要な場所に送るための機器一式を収めた高圧盤や、照明・コンセント用の配線用遮断器や漏電遮断器を収納した分電盤、機械や生産ラインを制御・操作・監視するための各種電気機器を収めた制御盤などを設計・製造している。

具体的な設置先は、工場やビルの機械をはじめ、ダムや河川の水門などさまざまだ。設備ごとに受電などの負荷状況が異なるため、現場に合わせて一品一様の提案を行う。また、同社が開発した道路の積雪を溶かす「消雪パイプ」の水量を調節する節水型制御盤は、発売以降、着実に設置数を拡大し、今では雪国の道路交通を支えるインフラの一部として活用されている。

その同社で2018年6月、ある社内プロジェクト(以降、PJ)が動き出した。社長・小林幸夫氏の"積年の夢"だった、ホームページ(以降、HP)のリニューアルに関するPJである。小林氏の強い思いを受けて始まった社内PJメンバーは、営業担当者を中心とする10名。そのPJを支えるパートナーとして同社が選んだのは、タナベ経営のSPコンサルティング本部だった。

経営課題を踏まえた提案が決め手に

タナベ経営とは、以前から経営コンサルティングや人材育成で付き合いがあった。「経営コンサルタントが苦手」と笑う小林氏だが、2006年にタナベ経営の担当者に会い、印象が一変。当時、同社の経営は厳しい状況にあったが、タナベ経営へコンサルティングを依頼し、収益改善につなげていった。

人材育成でも、幹部候補生スクールへ社員を毎年派遣するなど、タナベ経営の研修を活用。「管理職に必要なノウハウ、知識の習得ももちろん重要ですが、何より同じ中間管理職の立場で、同年代の異業種の方々と交流できる意義は大きい」と、小林氏は研修活用のメリットを語る。

タナベ経営のコンサル担当者からSPコンサルティング本部の紹介を受け、HP制作の依頼を決めたのは2018年5月のこと。リニューアルに際し、他の制作会社にも話を聞いていたという。しかし、他社がデザインの提案やHP制作のトレンドを踏まえた提案にとどまるのに対し、「経営コンサルティングで付き合いのあるタナベ経営は、当社の強みや弱み、過去の経緯も含めて全てを知った上で、それらを落とし込んだHP案を提案してくれた」(小林氏)。提案書を見て心が決まり、翌日にはタナベ経営への依頼を決めていた。

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大和電機産業 代表取締役社長 小林 幸夫氏

採用応募者や新規顧客にも伝わるように表現

新しいHPと、以前のHPの違いは一目瞭然だった。最も変わったのは、最初に目に入るトップページの印象だろう。

トップページにまず登場するのは、近代的な都市を思わせるイラストのイメージビジュアルだ。その下には、「顧客への提言」「コストの低減」という、同社スローガン「2つのテイゲン」を掲載。トップページの上部に配置することで、同社が大切にしている考えを真っ先に伝えることができる。

その下には同社の製品が採用されている社会インフラのイラストが続く。そこには「駅」「工場」「浄水場」「ダムの水」「クリーン電力」などが描かれ、それぞれの吹き出しをクリックすると、大和電機産業と町の施設との関わりや過去の実績が記されたコラムが登場する。

町の施設や暮らしとの関わりを具体的に表現することで、自社を身近な存在として感じてもらう。また、初めて見る人や学生にも分かりやすく伝えながら、「暮らしに不可欠な存在」であることを知ってもらう。これこそが、HPリニューアルの大きな狙いである。

トップページで事業内容全体を俯瞰できる構成は、新規顧客開拓の観点でも重要な意味を持つ。というのも、同社は大手企業や省庁の顧客を多数有しているが、直接付き合いのある部署以外には、事業内容の詳細までは知られていないことも多いという。事業内容を分かりやすく俯瞰的に捉えられるHPは、そうした課題を克服するツールとしても、存分に活用されることが期待されている。

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HP内「社員インタビュー」のためにタナベ経営が撮影。社員がPJを"自分ゴト化"していたため、スムーズに撮影が進行

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"みんなでつくる"プロセスが社員の意識改革に直結

リニューアル後のHPには多くの社員が登場する。特に、採用ツールとしての機能を強化するため、採用情報ページには真剣な表情で働く様子、和やかに談笑する様子などの写真とともに「先輩社員インタビュー」を掲載。先輩社員や経営陣の顔を見せることで、会社や職場の雰囲気が伝わり、応募者にとっては入社後の姿をイメージしやすくなる。

他にも、代表あいさつ欄は「自分の言葉で伝えたい」(小林氏)との強い思いから、タナベ担当者との打ち合わせを重ねて仕上げた。こうして細部までこだわりを持つ、新たなHPが誕生した。

そして今年(2018年)の9月1日に開かれた、大和電機産業の経営方針発表会。リニューアルしたHPの先行お披露目の機会となったその場で、小林氏は確かな手応えを感じたという。「来席された社外の方からも、高い評価をいただきました。社員の関心も高く、新しいHPの発表を食い入るように見ているのが分かりました」

HP改革は社員によるPJ形式で進行したため、社員の協力や連携が得られやすく、膨大な量の写真撮影もスムーズだったという。また、HPに掲載する製品紹介やFAQのページは、実務に深く関わる営業担当者が執筆を担当。その結果、現場の感覚や思いがなければ分からない、詳しい内容を反映したページが完成した。

"みんなでつくる"プロセスを経た効果は多々あるが、中でも最も大きな成果は、社員の意識変革につながったことだろう。「普段は目の前の仕事に忙しく取り組んでいる社員が多いのですが、PJをきっかけに社員が部門を超えて連携したり、自分の仕事以外に目を向け、会社全体を知るよい機会になった」と小林氏。

また、自分たちの製品や仕事が、身近な生活の中で活躍している様子が可視化されることで、「世の中の役に立っている」実感を持ち、仕事の働きがいとやりがいを感じる機会にもなったという。"思わぬ副産物"としてもたらされた社員の意識変化やモチベーションの向上は、同社にとって大きな収穫となっている。

未来のステークホルダーとの接点を見据えて

HPは、自社のブランディング、新規顧客の獲得、人材採用など企業の活動を大きく左右するツールだ。だからこそ現在だけでなく、未来の顧客や社員をはじめとするステークホルダーとの接点と捉えた上で構成し、情報を発信することが重要になる。タナベ経営なら「経営コンサルティングのノウハウとSPのノウハウの両方を有しており、多くの中小企業が悩んでいるHPの戦略的活用が可能」(小林氏)である。

同社は次のステップとして、一新したHPのコンテンツを活用し、会社案内の製作を進めているという。未来を見据えて手を打ち、手応えをつかみつつある同社の今後に期待せずにはいられない。

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今回取り上げたPJは、大和電機産業が過去にタナベ経営と共に導き出した「自社の強み」「会社として目指したい方向性」を、いかに対外的にPRするかという着眼点からスタート。同社にとっては、蓄積してきた素材情報を料理し、獲得したいターゲットに向けて訴求する「応用編」への挑戦だ。その試みを、全社を巻き込んで実施したという事実は、新境地を目指す同社の大きな財産になるだろう。現在、次なる「攻めの一手」を打つべく準備を進める同社。積極的に意識改革を促し、ステージアップを図る同社から目が離せない。

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SPコンサルティング本部 副本部長 SPディレクション部長 脇阪 佳人(左)
SPコンサルティング本部 SPコンサルタント 藤島 安衣(右)


PROFILE

  • 大和電機産業㈱
  • 所在地:〒940-2045 新潟県長岡市西陵町221-27
  • TEL:0258-47-4500(代)
  • 創業:1973年
  • 資本金:4000万円
  • 売上高:14億2000万円(2018年8月期)
  • 従業員数:84名(2018年9月現在)
  • 事業内容:配電盤・制御盤などの製造・販売、電気工事業
  • http://www.daiwadnk.co.jp/
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    06-7177-4008
    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所