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今週のひとこと

経営者は昨日の現実から脱却し、
新しい現実を直視しよう。そして、
新しいビジネスの創造の機会としよう。

☆ 意外な組み合わせが新たなファンをつくる!
  ―キャラクターライセンスを活用したプロモーション

 いま話題のキャラクターライセンスを活用する販促プロモーションは、キャラクター自体が持っている力を借りて商品やサービスをファン層にうまく訴求し、商品やサービスとの新たな出会いを創り出すことができます。
 また、キャラクターの持つ世界観と、商品・サービスとの親和性が高ければ高いほど、ファンにとって新しい魅力を見つける場ともなるのです。

 今回は、
 1.集客や販売拡大につなげるためのキャラクタータイアッププロモーションのやり方
 2.キャラクターの選び方
 3.プロモーションの手法
―の視点から、それぞれ3つのポイントをお伝えします。

 まずは、企業がキャラクターとタイアップして販促プロモーションを行う際に、どのようにすれば集客や販売拡大につなげることができるかです。
 1つ目は、担当者自身が、そのキャラクターを心底理解してファンになることです。そもそも、自分が興味の無いキャラクターでは、良いプロモーションのアイデアも生まれないでしょう。
 そして、2つ目は社内外の、"目利き"となる存在から情報を得て、キャラクターと商品・サービスの親和性を理解することです。
 最後3つ目は、キャラクターを使うだけでなく、ファンの心に残るようにプロモーションを盛り上げることに重点を置くことです。

 まず1つ目は「採用マーケティング力」です。媒体に依存することなく、応募者にとって有益な情報を、いかにして提供するのか、というストーリーを設計する力です。
 そして、2つ目が「採用ブランディング力」です。これまでの「集める」から、「集まる」という採用手法へ転換し、社内・外において採用ブランディングを展開する力です。
 最後、3つ目は「採用推進組織力」です。これは、採用に関わるスタッフの能力を高め、採用活動を組織的に力強く推進する力です。

 次に、どのような観点でキャラクターを選べばよいのか。これは、
 1.周年や映画化(映像化)など、キャラクターそのものの"日常的な注目度"が高まる時期
 2.PRしたい商品・サービスと、キャラクターの持っている世界観との親和性があるか
 3.そのキャラクターを活用(起用)する理由もしくは、意外性があるか
―といったことに気をつけるとよいでしょう。

 最後に、様々な要素を組み合わせて販促プロモーションを実施する際の手法として重要なことは、
 1.事前告知
 2.リアルとWebの融合
 3.特別感
 ―の3つです。

 キャラクターの活用は、注目を集めてこそ意味があります。意外な組み合わせによるプロモーションに挑戦してみてはいかがでしょうか。

SPコンサルティング本部
部長代理
小谷 将主

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"入社3年"で結果は決まる

 スポーツの世界に「ゴールデンエイジ(Golden Age)」という言葉がある。子どもの運動神経が著しく発達する、9~12歳ごろの約3年間を指す。トップアスリートを目指すためには、この時期に基本の型や姿勢を身に付けることが必要だといわれている。つまり行動習慣や癖、考え方は、良い意味でも悪い意味でも、生涯にわたって定着し続ける。
 ビジネスにおいても同様の期間があると考えられており、一般的には入社してから3年間とされる。"入社3年"の間に、どのような意識、どのような環境で、どのように仕事へ取り組んでいくのか。また、大切な時間をどう過ごすのかで、その後の成長が変わっていく。
 ある製造業の会社は、近年の「売り手市場」を受けてリクルート活動に力を入れており、採用難の中にあっても要員計画通り(約10名)の採用を続けている。入社後、彼ら・彼女らは1週間の新入社員研修と約1カ月間の部門別研修(製造・営業)を経て、現場に配属される。
 新入社員たちは期待と不安を抱きつつ、少しでも会社に貢献できるよう、一生懸命働いている。しかし、採用実績が豊富で、入社時基礎教育にも力を入れている同社でさえ、3年後には10名のうち4名が離職しているという。
 同社のように、人材の採用・教育に注力しているにもかかわらず、離職率が高水準で推移する企業が少なくない。離職の理由はさまざまだが、近年、特に多く見られるものが「キャリア成長が望めない」という理由である。具体的には「手に職がつかず、長い将来を考えると、つぶしがきかない仕事内容に思えた」といった声が多い。
 いずれにしても、残業時間が多い、休日が少ないなどの働き方に関連する理由よりも、「今の会社でのキャリアに対する不安が高まっている」と言える。その要因として、最近の学生(主に大学生)は就職活動セミナーや授業などでキャリアデザインに関する話を聴く機会が以前に比べ増えており、キャリアに関する知識が高まっていることが考えられる。


【図表】各種教育研修の実施状況(単位:%、複数回答)

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出典:産労総合研究所「2017年度教育研修費用の実態調査」(2017年10月)

企業における教育投資は「若手重点主義」だが...

 「就職先で、いかに自分が成長できるか」。これこそが、現代の若手社員が一番に考える労働観である。成長できそうになければ、すぐ辞めてしまう。労働力確保が困難な中、雇用した社員の離職を抑えて活躍してもらうため、各企業の教育投資額がここ5年で増加傾向にある。
 【図表】は、人事労務系の民間調査機関「産労総合研究所」がまとめた、企業による「教育研修費用の実態調査(2017年度)」の結果である。それによると(複数回答)、新入社員教育を実施している企業の割合は93.2%と第1位。次いで、新入社員フォロー教育を実施している企業が78.8%と、新入社員向け教育が上位2つを占めているのが現状である。
 多くの企業は、少子高齢化や労働力人口の減少などから労働力の確保が大きな経営課題となっており、教育投資の必要性が日増しに高まりを見せている。とりわけ、新入社員層の教育を重視している企業がいかに多いかが、この調査結果からうかがえる。もっとも、効果的な研修ができているかは別問題だ。せっかく投資したのに、育たない上に離職してしまうようでは、まったくの無意味である。では、どうすればよいのか。


会社が期待する役割の"全体像"を示す

 若手層が、組織の中でどのように成長すればよいかを知らず、何に取り組むべきかも分かっていない場合が多い。企業が期待している役割(ステージ)の全体像を示した上で、組織で期待される役割がどのように変化し、今はどのようなことにチャレンジすべきかを明確に示す必要がある。
 新入社員・若手社員層に限らず、人材育成の基本は「期待像を示し、目標を設定させる」ことだ。小学校の通知表を思い出してほしい。例えば、「思いやりと感謝の心を持ち、みんなと協力し合って活動する」という評価項目には、仲間に対する感謝の気持ちと協力姿勢を備えた人間に育ってほしいという期待値が示されている。これは、社会人においても重要である。
 「とりあえず、がむしゃらに頑張ってくれよ」だけでは、どこに向かって自分は頑張ればよいのかが分からない。従って、1年後や3年後には「こんな社員に育ってほしい」という成長イメージを、上司の思いとともに指し示すことが、活躍する若手社員が育つファーストステップであると言える。


  会社の目指すべき方向と自身の成長ベクトルを一致

 離職理由で最も多いとされるのが「キャリアが望めない」だ。この理由を掘り下げれば、入社前に抱いていた働くイメージと入社後の実像とのギャップが大きいということに行き当たる。新入社員は、会社が求めていることは何か、どのように自分が成長して貢献すべきかが分からなくなり、「この会社にいても自分のキャリア実現は望めない」と諦めて、離職という選択肢を選ぶ。こうした心境に陥らせないためには、自社で働くキャリアイメージを持てるよう、企業側から若手社員に働き掛けることも重要だ。
 ある会社が実施しているキャリアデザイン研修では、若手社員をいくつかのグループに分け、「どんな企業にしていきたいか、どんな企業がよいか」などを自由に付箋に書かせて、それを会社という木に貼り出している。その後、現在の自社と比較して違いを明確にさせ、それを埋めるために自社は何を変えるべきか、変わるために自らがどう成長していくかについて、資料にまとめている。
 この会社が若手社員に伝えたいことは、会社と個人がWin-Winの関係にあるということだ。すなわち、自律的な自己成長のために、育成のサポートや成長意欲実現の機会を与えることが会社の役割であり、その会社へのエンゲージメント(愛着心、思い入れ)により全員経営を推進することが社員一人一人の役割、ということである。
 このように、個人の成長を実現するために会社が在り続け、その結果、企業の成長につながる。このような仕組みや考え方を若手社員と共有して初めて、会社と自分自身の成長がつながるキャリアを描けるのである。
 人口減少に歯止めがかからない中、"人材確保難"の時代は今後も続く。人材育成の必要性はますます高まっていくに違いない。企業が帰属意識の高い自律型組織を目指していくためには、入社1年目から3年目の若手に成長ステージを提示し、会社の進むべき方向と自己のキャリアのベクトルを合わせることが、よりいっそう求められよう。
 組みも重要なのだ。

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  • タナベ経営
  • 経営コンサルティング本部 コンサルタント
  • 小菅 大貴
  • Daiki Kosuge
  • クライアントの人材開発を支えるコンサルタントとして、リーダー層から新入社員までの教育・セミナーの企画・運営・指導で幅広く活躍中。特に若手クラスへの指導においては、自らの実務で培ったリーダーシップ発揮のモデルを示し、分かりやすく実践的との高い評価を得ている。また、アカデミーコンサルティングチームのサブリーダーとして、全国での人材育成支援を展開している。

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「仕事が人を育てる」考えのもと OGINIC開発の夢を目指す

自主独立経営で「Challenge333」達成へ

荻野工業は、1957年に荻野六三之氏が従業員数名の小さな鉄工所として創業。60年以上を経て、日本国内のみならずフィリピン、ベトナムなど海外に拠点を構えるまでに成長した。その成長の原動力は、「至誠一貫」という誠意を貫き通してウソのないものづくりを目指す社是の精神にある。
 主な事業は、自動車部品(エンジン・ミッション・ブレーキ関係)の製造と減速機の開発、機能部品(高圧ポンプなど)の開発。創業以来、機械加工と機械部品開発の技術に磨きをかけてきた。
 売上高が150億円規模となった現在は、経営ビジョン「Challenge333(以降、トリプルスリー)」を掲げ、さらなる発展を目指している。グループ売上高300億円・経常利益30億円・3事業確立という"トリプルスリー"の達成を見据えたものだ。
 トリプルスリーについて、代表取締役社長の荻野武男氏は「売上高だけ300億円になっても、利益が伴わなければダメ。1人当たりの付加価値生産額を伸ばし、経常利益率10%以上の継続を目指したい」と指摘する。また、主力の自動車部品製造を中心に据えながらも、新たな成長ドメインを開発し、3つの事業の柱を打ち立てることでバランス良く会社を成長させたい考えだ。
 さらに荻野氏は、自主独立の経営が重要であるとし、「従業員が自分の意思で行動し、その真価を世に問い、結果に対する責任を取れる会社にしたい」という強い思いがある。
 新規事業の柱として、また自主独立の経営の基礎として期待しているのが、高精度減速機「OGINIC」の開発だ。
 荻野工業が独自に開発している揺動歯車式減速機で、歯数の異なる固定歯車と揺動運動しながらかみ合うことで減速する。従来の減速機に比べ、より精密で壊れにくく、コンパクトであることが特長だ。減速機は自動車部品のみならず電化製品、医療機器、工作機械、産業用ロボットなど広範囲で使用され、医療・福祉など成長分野での活躍も期待されている。
 「OGINICは社員と共に未来をつくる挑戦。自社開発で製品化できれば、自主独立の経営に近づく。夢を実現させる努力によって、若い社員が育ってくれる」(荻野氏)

荻野工業 代表取締役社長 荻野 武男氏
荻野工業 代表取締役社長 荻野 武男氏

荻野工業 常務取締役 堂本 慶彦氏
荻野工業 常務取締役 堂本 慶彦氏

創業以来「至誠一貫」のものづくりで、世界基準とも言える荻野ブランドを確立してきた
創業以来「至誠一貫」のものづくりで、世界基準とも言える荻野ブランドを確立してきた

OGINICの研究に憧れ志望学生が増加

 「OGINICの自社開発を志望動機に挙げる学生は多い」と話すのは常務取締役の堂本慶彦氏。荻野工業は毎年10名程度の新卒者を採用しているが、近頃は応募者が増加傾向にあるという。多くの学生が「OGINIC」をはじめ、開発や研究に積極的な企業であることを重視しているのだ。
 採用の際、大切にするのが人間性だという。社是「至誠一貫」に反していないかを大きな判断材料とする。「採用の合否で悩むときも、最終的に荻野社長に『人間性が良いから採用しなさい』と言われることがあります。そうした姿勢で採用するため、至誠一貫の考えが組織に浸透しています」と堂本氏は話す。
 人づくりについて、荻野氏は「私が人をつくるのではない。仕事が人をつくる」と断言する。新しいビジネス、難しい仕事に取り組んで成果を出すことで人は育つのである。

成長の原動力は社員みんなで仕事を創造すること

 荻野氏は自社の課題について、「教育と人事制度」と話す。克服するために、課題に応じてさまざまなプロジェクトチームを立ち上げたり、荻野氏が理念を語る「社長塾」を開催するなど、人材育成の取り組みを多様に展開してきた。その一環として、タナベ経営の「幹部候補生スクール」も活用している。
 「幹部候補生スクールは話を聞いて終わりでなく、長い期間にわたってじっくり考える機会を得られる。他社の人材と交流できるのも良い」と荻野氏は高く評価する。堂本氏は「当社社員の成績がトップだったことが大きな励みになっています。具体的な受講の効果が出るまでには時間がかかるでしょうが、『経営について考えなければならない』と、参加した社員の意識が確実に変わりました。また、タナベ経営の方々は私たちの気付かない部分まで参加者を観察しており、人事配置の参考になります」と話す。
 現在、新入社員教育プログラムの再構築にも取り組む同社。社歴を積んだ社員から「こんな教育をしてほしかった」という意見を募り、より実践的な教育を目指している。
 次世代を担う社員に対して、堂本氏は「グローバル化を目指す企業として、積極的に海外に出る気持ちを持ってもらいたい」とエールを送る。従業員数を見ると、グループ全体ではすでに海外の従業員の方が日本人よりも多いが、そうした変化に対応し、世界へと羽ばたける人材を求めている。
 荻野氏は「『全従業員の成長と幸せを実現すると同時に、心のこもったものづくりを通して社会に貢献する』という経営理念は、社長1人で実現できるものではない。企業は社長が社員をうまく使うから成長するのではない。OGINICの開発など仕事を通じて、社員がいかに育つかが大切。その仕事はお客さまからいただくもの。『会社が発展・成長する原動力は、社員みんなで新しい仕事を見つける活動をすること』というのが私の信念です」と熱く語る。

PROFILE

    • 荻野工業㈱
    • 所在地:〒060-0004 北海道札幌市中央区北4条西19-1-3
    • 創業:1957年
    • 代表者:代表取締役社長 荻野 武男
    • 売上高:158億円(グループ全体、2019年4月期見込み)
    • 従業員数:1651名(グループ全体、2019年2月現在) http://www.oginokk.co.jp/

タナベ経営より
荻野工業は「至誠一貫」を社訓に掲げ、「自主独立の経営」を目指し、中期ビジョンである「Challenge333」を推進中だ。2018年度はグループ全体の目標売上高を150億円に設定。その達成も視野に入ってきている。 荻野工業では、事業規模の拡大とともに人材育成も強化。「新しい仕事が社員を育成する」という信念の下、次世代を見据えた人材育成に注力している。また、社長塾や外部研修など、社員の教育機会を広げ、会社全体で学ぶ風土づくりを推進。OGINICの開発をはじめ、新たな取引先の開拓や新しい仕事に取り組むことで人材を育成し、さらなる成長を遂げようとしている荻野工業の今後が楽しみである。


経営コンサルティング本部
部長 チーフコンサルタント
稲岡 真一

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    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所