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今週のひとこと

こうなってもらいたいという、あるべき姿を
まず明確にしよう。わが社の経営理念、行動
基準、期待される社員像に沿って、指導基準
をしっかり持とう。

☆ なぜ若い社員が3~4割も早期離職してしまうのか!?

 最近、クライアントとディスカッションをする中で必ずと言ってよいほど話題に上るのが、「若手社員の離職が止まらない」という内容です。厚生労働省の調査結果によると、大学を卒業し、新卒で入社した若手社員の約3割が3年以内に会社を辞めており、高校卒業者の離職率はさらに高く、約4割が辞めています。
 また、テレビコマーシャルや電車・バスの広告など、「転職」という言葉を見ない日はないと言っても過言ではありません。

 では、なぜこのような早期離職や転職が若い社員の間で広がっているのでしょうか。転職サイトを見ると「他にやりたい仕事がある」「給与に不満がある」「会社の未来が不安」など、さまざまな理由が挙げられていますが、筆者なりに気付いた点が一つあります。
 ある企業で、若手人材向けに行った「キャリアビジョン策定研修」でのことです。その研修では、参加者自身の強みを明確にし、今やっている仕事がどんな価値を生んでいるのか。そして、今後自分はどんな仕事をしてみたいか、という切り口から、自身のキャリアビジョンを描くということを行ったのですが、その中で「皆さんの会社はどん な歴史から成長を遂げて、今に至り、そして未来を描いているか知っていますか」という質問を投げかけたところ、知っているメンバーは一人もおらず、筆者がこれまでの歴史と、これからのビジョンを伝えると、皆さんは感銘を受けた様子でした。
 そして、研修終了後に多くの受講生から言われたのが、「こんなすてきな会社に入れて良かった」「私もこの会社で社会貢献したい」といった言葉でした。

 若い人材の早期離職の一つの理由には、「会社の歴史や未来を理解できていない」ということがあるのではないでしょうか。会社の歴史を知らないから愛着が湧かず、そして未来を知らないから自分の未来を描けないのではないのではないでしょうか。実務研修やマナー研修 も大切ですが、会社の歴史や未来を知ってもらうことや、会社の理念や考えを理解してもらうということが、より大切なのではないでしょうか。

経営コンサルティング本部
コンサルタント
瀧口 泰寛

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【図表】メンター制度の仕組み 201907_review3_01

「時間の管理」と「努力・支援の忌避」

限られた時間の中で、いかに成果を上げるか。昨今、「働き方改革=生産性改革」が各企業に求められており、その結果、企業の「時間」に対する価値観が大きく変化している。業務の優先度の軸に「時間」が据えられ、社員はミッションやタスクではなく、時間という目的で管理される。そのため、「少ない時間でいかに成果を上げるか」という価値観の働き方が増えた。

半面、新しいことに取り組んだり、異なる方法でやってみたりという試みや、「〇〇さんの手助けをしたい」といった支援型業務など、時間をかけても成果に直接つながりにくい業務が避けられる傾向も見られるようになった。

「変わる価値観」と「変われない自分」

「膨張型社員」が増えている――。これは、私が多くの企業を支援する中で感じた印象である。" 膨張" とは、個人が変化する以上に組織の変化が速く、個々の社員がキャリア(職業・技能上の経験)の方向性を見いだせていない状態を指す。対応すべき業務が広がり続け、思考停止している状態とも言える。人間は太ると動きが鈍くなるように、ビジネスの現場も膨張すると考える力や行動力が鈍化する。

このケースに陥る企業の特徴は、何といっても中堅・若手社員の不平・不満が多いことである。

会社を取り巻く環境の変化が速いと、これまでにない新しい業務が増える。その変化に、自身のキャリアビジョンを合わせることができない。世の中のルールが大きく変わる中で、企業も社内の仕組み改革を急速に進めているのに、その変化についていくことができていないのである。

「伝える」と「伝わる」

「伝える」と「伝わる」。この違いは、コミュニケーションの主体が「自分」なのか、「相手」なのか、だ。この2つは分けて考える必要がある。

皆が多忙な現在においては、「伝える」ことに軸足を置いた発信が増えている。デジタル革命によるICT化の進展で、以前は対面で行っていたコミュニケーションの大半がデジタルにシフトしているからだ。手間暇をかけない必要最低限のコミュニケーションを続けた結果、人間関係が希薄化。「伝えている」ものの、相手に「伝わっていない」ことが増えている。

メンター制度とは

こうしたコミュニケーション不全の状況の中、「メンター制度」があらためて見直されている。メンター制度とは、新入社員(メンティー)に対して、異なる部署に所属する上司・先輩社員(メンター)が、仕事の進め方からモチベーション面に関してまで相談に乗り、サポートを行う制度である。(【図表】)

「メンター」(Mentor)の語源は、古代ギリシャ時代にオデュッセウス王(ギリシャ神話の英雄)の助言者や、その息子であるテレマコスの師を務めた「賢者メントール」の名といわれる。現在は仕事や人生をより良くするための支援者として、対象者へ指導や助言をする人を指すようになった。

職場におけるメンターとは、日々の業務のアドバイスではなく、社員のキャリアのアドバイスを行う存在であり、職業人生のモデルとしての役割を果たす人である。この存在が、今の企業には必要である。

こうした話をすると、「これまで社内の先輩が行ってきたことと何が違うのか」と思う人もいるのではないだろうか。確かに、" メンター" という表現ではなくても、メンター的な役割を果たす人は多い。

例えば「落ち込んだとき、あの言葉で壁を乗り越えることができた」「自分の環境の変化に誰よりも早く気付いてくれた」「人としての根本を学ぶことができた」など、「その人がいたおかげで今の自分がある」と思える存在がいるはずである。それがメンターだ。

メンター制度の設計・導入ポイント

メンターが、指示や命令ではなく、対話による気付きと助言でメンティー自身の自律的な成長を促すことを「メンタリング」と呼ぶ。メンタリングを導入する目的は、変わる価値観と変われない自分を組織で支える「個人のキャリア開発」である。

ここでは、「個人の変化のスピード」と「組織の変化スピード」のギャップを埋めることがテーマと言える。制度を設計・導入する際のポイントは、次の3点である。

(1) メンターの組み合わせの選び方

メンターには、直属の上司や同じ部署の先輩ではなく、異なる部署の上司・先輩を選ぶことを推奨する。メンティーの直属上司や同一部署の先輩をメンターにすると、仕事へのアドバイスが中心となり、短期的な視点による育成に陥ってしまう。メンターの選定は所属部署と分けた方がよい。

組み合わせの方法は、「アサインメント方式」と「ドラフト会議方式」に分かれる。アサインメント方式とは、トップまたは人事担当者が、メンターとメンティーのバックグラウンドを考慮して組み合わせを指定するもの。ドラフト会議方式とは、メンターのリストをメンティーに提示し、メンティーが希望する人材を指名するものである。

(2) 接点の持ち方

メンティーのキャリアプランの設計とその後のキャリア開発状況について、メンターは定期的に接点を持ち続ける必要がある。基本的に月に1、2回は業務時間内で接点をつくる。

また、メンター制度を導入する際には、メンター制度の理解と、メンタリングについてのスキルを習得する「メンター研修」も必要となる。

(3) メンタリングのルール

①守秘義務 メンタリングで知った情報、話した内容を、メンター・メンティーとも第三者に口外しないこと。事務局には、メンターがメンティーの了承を得た上で、「面談記録シート」などで報告する。

②相談窓口 メンタリングにおいて、不都合なこと(メンティーがメンターとの相性の悪さを感じることなど)がある場合、相談できる窓口を設け、周知しておく。メンター・メンティーから相談を受けた上司も相談できる窓口にするとよい。

③時間について 面談は業務の一環として就業時間内に行う。ただし、就業時間外に任意で飲食をしながら交流を深めることについて、事務局側は特に干渉しない。

④内容の線引き 扱う内容と、扱えない内容をきちんと線引きする。例えば、ワーク・ライフ・バランス、研究内容やキャリア、進路、職場環境、育児・子育てなどの悩みについては、話し合ってもよい。

しかし、人事に関すること、金銭に関すること、就職の斡旋に関すること、福利厚生の利用に関することなどは、扱ってはならない。

メンター制度は、メンティーのキャリア開発を目的としている。「組織の成長」と「個人の成長」という両輪がないと、企業は成長しない。自社で行われているキャリア開発について、ぜひ再検討していただきたい。

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  • タナベ経営
  • 経営コンサルティング本部
  • 部長 チーフコンサルタント 
  • 中尾 泰彰
  • Yasuaki Nakao
  • 次代に向けたビジネスモデル改革、体質改善などを中心に活躍中。独特の感性と業績に向き合う真摯な姿勢で相手に合わせた丁寧なアドバイスを実施し、多くのクライアントから厚い信頼を得ている。「教育・学習ビジネス研究会」サブリーダーとして活躍中。

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北ガス(北海道ガス)グループの一員として、LPガス事業を展開し、北海道の発展に貢献してきた北ガスジェネックス。50年にわたって人々の生活を支えてきた高い技術力と、それを伝承するアカデミーを活用した人材育成によって、顧客とのより深い信頼関係を築いている。


杉岡社長とアカデミーメンバーの皆さん(前列左から総務企画室 上金奈々恵氏、代表取締役社長 杉岡氏、リビング営業部ホームライフグループ主任 佐藤志歩氏、後列左から保安サービス部設備技術グループ主任 森彰吾氏、総務企画室課長 橘喜勝氏)

社会貢献型会員制サービス「ブランケットメンバーズ」。顧客との付き合いを深め、一人一人の暮らしに合ったサービスを追求している
社会貢献型会員制サービス「ブランケットメンバーズ」。顧客との付き合いを深め、一人一人の暮らしに合ったサービスを追求している

LPガスの供給で地域住民の生活を支える

笠島 北ガスジェネックスは、LPガスや灯油の供給を通して北海道の社会インフラの一端を担ってこられました。まずは創業の経緯についてお聞かせいただけますか。

杉岡 当社の設立は1967年。都市ガス事業を担う北ガスグループのLPガス事業会社としてスタートしました。当時の札幌市は、住宅地が次々と造成され、それに伴って広い範囲でガスを供給する必要がありました。

当時、都市ガスの敷設工事には時間がかかりました。当社は、離れて造成された住宅地にLPガスを先行供給する役割を担いながら、都市ガスと共に成長を続けてきました。現在は札幌圏を中心に約7万8000世帯にガスを供給しています。

笠島 2017年に設立50周年を迎えられました。売上高が80億円を超える地域の優良企業へと成長されましたが、秘訣はどこにあるのでしょうか?

杉岡 創業から一貫して変わらないのは、地域のお客さまと深いつながりを持ちたいという姿勢です。都市と商圏が重複しているため、都市ガスの敷設が進めば契約件数が減少に転じることは避けられません。都市ガスの供給が行き届いた今、数こそピーク時と比べて減少しているものの、中身は大きく変化しています。

例えば、工場や店舗などの事業用の増加や、ここ10年間で家庭用のガス暖房やガスマイホーム発電機が普及したことで供給量は拡大。きめ細かくお客さまに対応してきたことによって、それぞれの暮らしに合った使い方を他社に先んじて提案してきた結果が今につながっていると思います。


北ガスジェネックス 代表取締役社長 杉岡 正三氏
1956年生まれ、北海道恵庭市出身。1979年弘前大学人文学部経済学科卒。1979年北海道ガス入社後、情報システム、天然ガス転換、経営企画などに従事。2006年執行役員(札幌支店長)、2007年取締役・常務執行役員(営業副本部長)。2014年北ガスジェネックス代表取締役社長。同年日本コミュニティガス協会北海道支部長、2017年エネルギーサプライ代表取締役社長。

お客さまに寄り添うブランケットメンバーズ

笠島 地域住民を対象とする料理教室の開催や、社会貢献型会員サービス「ブランケットメンバーズ」をスタートされるなど、ここ数年はお客さまとより深い関係を築かれているように感じます。

杉岡 料理教室は北海道文教大学の学生が講師を務めています。学生にとっては社会勉強になりますし、地域の方には学生との交流や憩いの場として喜んでいただいています。また、同大学と千野米穀店の協力を得て「ガス炊きで美味しい北海道産特選ブレンド米『おりひめ』『ひこぼし』」を開発。イベントやホームページでの通販などで販売していますが、非常に好評です。

一方、ブランケットメンバーズはアプリを使った会員組織で、PCやスマートフォンから簡単に、ガスの利用状況の確認や各種点検の予約などができるサービスを提供したり、お得なクーポンを発行したりしています。

また、有料会員を対象に、暮らしの困り事に社員が直接訪問して解決する「くらし"ホッ"とサービス」を展開。会員からは水回りや灯油のトラブル、家具の移動や電球の交換、庭木の手入れやリフォームなど、あらゆる暮らしの相談が寄せられます。社員がお宅を訪問し、その場で解決できる場合もありますし、中には専門業者を紹介する場合もありますが、困ったときに一番に相談できる存在になりたいという思いでサービスをつくりました。

笠島 特に高齢世帯や1人暮らしの方にとってはありがたいサービスです。相談に乗るだけでも安心されるでしょう。

ただ、従来のガス事業とは領域が異なる印象があります。このようなサービスをつくった目的はどこにあるのでしょうか? 

杉岡 エネルギー業界は日本の人口増加とともに成長してきましたが、すでに北海道の人口は頭打ちの状況です。これからは人口減少と高齢社会に適したサービスの提供が、ますます重要になるでしょう。

ここ数年、エネルギー業界ではライバル間の競争が激しくなっていますが、新規契約の奪い合いを続けても価格競争に陥って互いに体力を消耗するだけです。この状況を乗り越えるには、発想の転換によって新たな価値を提供していくことが不可欠。単にガスを売るのではなく、付加価値を付けることが大事だと考えました。お客さまの生活におけるエネルギー利用に貢献することが価値と定義しています。

設立50周年を前に自社の将来を考えるプロジェクトチームが立ち上がり、「これからはお客さま一人一人の暮らしに合わせた十人十色のサービスが大事になる」という意見が社員から出たタイミングでもありました。お客さまに合ったサービスを開発するには、お客さまとより深いお付き合いをすることが大切。まずは「お客さまに寄り添うサービスをつくろう」となり、ブランケットメンバーズが誕生しました。


タナベ経営 経営コンサルティング本部 北海道支社長 笠島 雅人
タナベトップコンサルタントの一人として、全国各地の地域中小企業から1部上場企業まで、幅広いコンサルティング経験を持つ。戦略構築に伴う組織改革、業績コントロールシステムの構築、情報システムの再構築、人事処遇制度、人事評価制度、幹部人材育成などで実績を上げている。「成長するクライアント企業と共に成長するパートナーであり続けたい」が信条。

アカデミーの導入で技術力・人材力を向上へ

笠島 通常のガスの定期点検では、お客さまとのコミュニケーションは限られています。くらし"ホッ"とサービスであれば、お客さまのライフスタイルや困り事などを詳しく知ることができます。このサービスは専門部署をつくって対応されているのでしょうか?

杉岡 "二足のわらじ"と称して全社員が担当します。当番制で内勤の社員も制服を着てお客さまを訪問するので、普段と違う経験ができ、良い刺激になっているようです。

トラブルを解決してお客さまが喜ばれている姿を見たり、「ありがとう」という言葉を掛けられたりすればうれしいものです。同サービスを通して、お客さまを訪問することに対する心のハードルは、ずいぶん低くなったように感じています。

今のところ有料会員は150名ほどで高齢者の割合が高く、無料会員は約2600名で、年齢や家族構成はより幅広くなります。今後は子育て世代や単身世帯など、年齢や家族構成に合わせたサービスを増やしていこうと考えています。

堀部 ブランケットメンバーズが成功したポイントの一つは、全社員が同じ水準のサービスを提供できる点にあります。サービス開始を前に、「考働リーダー」を指名するとともに、作業手順や技術を標準化した教育ツールである「アカデミー」を構築し、社員が自主的に学びやすい環境を整備されました。

杉岡 タナベ経営とは2016年からお付き合いがあり、アカデミーの導入時も協力いただきました。これまでガス業界は、マニュアルがなく先輩の技術を現場で見て学ぶことが多かったように感じますが、タナベ経営からの提案もあって各作業をチームコンサルティング対談10分程度の動画にまとめてアカデミーにアップし、社員がウェブ上で閲覧できる仕組みを構築しました

当初の目的は、くらし"ホッ"とサービスのための訓練でした。ですが、あらゆる業務を可視化したことで、技術の継承という意味でも大きな成果があったと思います。また、所属する部署以外の仕事についても理解を深める良いきっかけになっています。今後、コンテンツの充実に大きな期待を寄せています。


タナベ経営 経営コンサルティング本部 チーフコンサルタント 堀部 諒太
人材業界の営業・マネジメントを経験後、タナベ経営へ入社。建設業界を中心に人事制度構築や社内大学(アカデミー)づくりなど、人材に関するコンサルティングを展開。クライアントと一体となった顧客密着での展開で人材成長を幅広く支援している。

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アカデミー動画の一例。講師は先輩社員が務め、現場での作業を分かりやすく解説

ブラッシュアップを続け人材の早期戦力化目指す

堀部 私はさまざまな企業のアカデミー導入に携わっていますが、北ガスジェネックスの場合、アカデミーメンバーが非常に積極的に取り組まれていました。動画に登場する講師も全て社員が担当されています。

大変だったことや印象に残っていることはありますか?

 カリキュラムをつくる上で、現場の声を直接聞いたことは貴重な体験でした。そこで出た課題などを、今後の教育に生かしていければと思います。

例えば、ガス工事には配管やボーリング調査など多くの工程があるため、時には手順を忘れてしまったり、抜けてしまったりということも起こり得ます。社員が少しでも不安を感じたときに、その場で確認できるような形にできれば、より良いツールになると考えています。

佐藤 きちんと準備をしていても、実際に現場に出ると分からないことが出てきます。ガス機器であればメーカーから提供される動画を確認していますが、普段の作業や業務についても同じように確認できると便利です。

新人社員ほど、忙しそうにしている先輩には聞きづらいもの。質問する前に動画で手順や内容を確認できれば分からない点が整理できますし、答える側も答えやすくなります。私自身、後輩からの質問に答えられないこともありますが、そんなときに、一緒に動画を見ながら学べるツールになると良いと思います。

堀部 訓練に加えて、確認のためのツールとなれば、幅広い場面での活用が期待できます。コンテンツの作成に若手メンバーを加えるなど、使いやすさ、分かりやすさを特に重視されていました。

上金 私は保安の動画作成に参加させていただきました。私自身は現場の知識がほとんどありませんが、作成に当たっては、担当者から頂いた資料を素人の視点でかみ砕き、新入社員や内勤社員も理解できる内容になるように心掛けました。

動画であれば、初心者でも現場をイメージしやすい点は良いと思います。ただ、これで終わりではなく、使った感想や改良点を出し合うことで、より良いツールにしていきたいと思っています。

 採用活動においても、動画を流すと学生の興味が一気に高まることを肌で感じています。若い世代は普段から動画に接しているため、アカデミーの仕組みは若手社員の教育・育成に非常にマッチしていると思います。

いつでも、どこでも学べるのがこの仕組みの良いところ。「3年で一人前」が従来の慣習でしたが、主体的により多くのことを吸収してもらい、2年でしっかりと仕事ができる社員に成長できるツールとして期待しています。

北海道文教大学、千野米穀店との産学連携プロジェクトで生まれた「ガス炊きで美味しい北海道産特選ブレンド米」
北海道文教大学、千野米穀店との産学連携プロジェクトで生まれた「ガス炊きで美味しい北海道産特選ブレンド米」

毎日の生活の中にこそチャンスは転がっている

笠島 エネルギー業界は、往々にして官僚的な組織になりがちです。しかし、杉岡社長はフットワークが軽く、発想も非常に柔軟です。それが会社の活力を高める一つの要因ではないかと感じています。

杉岡 私はシステム畑を通ってきたため、何か問題があれば、「どう解決するか」「別の方法はないか」と考える癖が身に付いています。

どのような仕事であっても、お客さまに喜んでいただくのが最も大事。アカデミーを導入したのは、お客さまから「いいね」「すごいね」と言っていただける人材を育てたいからです。仕事のモチベーションを最も高めるのは、お客さまからの感謝や励ましの声です。お客さまに喜んでいただくことで社員のやる気が上がり、社員が主体的に学ぶようになるとサービスの質が上がり、さらにお客さまに喜んでいただける。このような好循環が生まれれば、社会環境が大きく変化したとしてもお客さまに選んでいただける会社になるはずです。アカデミーはそのための有効なツールになり得ます。

笠島 私もシステムエンジニア出身ですから非常に共感します。時代の変化を乗り越えるには、さまざまなアプローチを試して課題を解決する習慣が欠かせません。

杉岡 常に時代の変化に合った形をつくることが重要です。具体的に言えば、すぐに駆け付けるという寄り添い型のサービスと、究極のデジタル活用型サービスの両方を持つ会社になることだと私は考えています。業務用はIT による合理化でお客さまにメリットを提供する一方、家庭用ではヒューマンスキルを生かした対面の寄り添ったサービスをご提供していく。

ただ、1社で提供できる範囲は限られているため、賛同いただけるところがあれば、一緒にサービスを展開していくことも一つの方法だと考えています。

笠島 仲間が増えれば、より多くのお客さまに喜んでいただけます。そのためにも既存の枠にとらわれない柔軟な発想で、お客さまや事業を見直す必要があります。

杉岡 おっしゃる通りです。例えば、あらゆる分野でサブスクリプションが広がっていますが、エネルギーサービスに導入することで、新規顧客の開拓につながる可能性は十分にあります。

チャンスは日常生活の中に転がっていますが、毎日の生活にアンテナを張り、商売のタネを探し続けている人だけがチャンスに気付けます。変化の兆しを見逃さない人材をいかに育てるか。アカデミーが、その有効なツールになると期待しています。

笠島 業種の垣根がガラガラと音を立てて崩れています。お客さまが求めるコトをいかにデザインしていくかに、企業の未来がかかっていると言っても過言ではありません。北ガスジェネックスが変化を捉え、時代の先鞭をつけていかれることを祈念しております。本日はありがとうございました。

PROFILE

  • 北ガスジェネックス㈱
  • 所在地:北海道札幌市東区伏古8条2-7-1
  • 設立:1967年
  • 代表者:代表取締役社長 杉岡 正三
  • 売上高:84億900万円(2019年3月期)
  • 従業員数:180名(2019年4月現在)

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    06-7177-4008
    担当:タナベコンサルティング 戦略総合研究所