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今週のひとこと

忙しいことを理由に、部下の育成・教育を

なおざりにしていては上司失格だ。

部下育成を継続して実行してゆけば、自ら

の能力アップにきっとつながる。

☆ 「技能承継」が社員の使命感を醸成する

 今回は、筆者が金属加工メーカーのコンサルティングで行っている「技能承継」と、それにかかわる社員教育についてお伝えします。

 筆者はメーカーのコンサルティングを担当する機会が多く、最近は技能承継に悩まれている企業が少なくありません。日本の経済成長期を支えてきた団塊の世代の熟練工は、その多くが既に現場を去っています。何十年もかけて磨かれてきた技術という貴重な財産が失われているのです。日本は今、待ったなしで技能を次世代に引き継がなければいけません。では、どのようにして技能を承継していくか。

 一昔前までは「師匠(上司)・先輩の背中を見て育て」が一般的で、自分の目で見て、耳で聞いて、失敗を繰り返しながら技術を磨いてきました。その中で師匠や先輩、仲間との絆が生まれていったのは事実ですが、指導に耐え切れずに辞めてしまったり、他人とのコミュニケーションが苦手な人は成長速度が極めて遅かったりします。
 技能は感覚の世界であり、文字にしたりマニュアル化したりすることは容易ではありませんが、例えば、動画だと視覚的に技術を習得することが可能です。

 先日、技能承継を目的とした企業内学校(アカデミー)を運営する、クライアント企業A社の社長と話をする機会がありました。そこで言われていたのは「長年培ってきた会社の技術はもちろん宝だが、その技術を譲る・譲られるための、このアカデミーで、社員たちに自社の未来を担う使命感を持ってもらうことが重要だ」ということでした。
 いまA社ではベテラン社員の動きを中心に、現場での作業工程を収録しています。技能承継は、一朝一夕にできることではありません。皆さんの会社でもアカデミーを設立し、次代を担う人材育成に取り組まれてみてはいかがでしょうか。

経営コンサルティング本部
コンサルタント
市川 淳

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社員を主体業務に集中させよう


生産性改革が叫ばれ、多くの企業が業務改善に取り組んでいる。生産性を方程式で示すと、「アウトプット÷インプット」であり、企業経営で捉えると「限られた経営資源を有効活用して、最大のアウトプット(売り上げ・利益)を生み出すこと」が命題となる。

経営資源とは、「ヒト」「モノ」「カネ」であり、これに「ジカン(時間)」を新たに加えて考えていこうというのが、「生産性改革」である。生産性の方程式を時間軸で捉えると「成果÷総労働時間」となり、これをさらに分解すると【図表】の通りとなる。

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この方程式から生産性を考えると、稼働率を上げるか、効率を上げるかということになるのだが、改善のステップにおいては稼働率を高めることから始めるのが重要である。その理由は、次の2点である。

1点目は、効率を高めるには、ビジネスモデル自体を改革するか、人材のレベルアップが必要条件となることから、成果が出るまでにある程度の期間が必要だからである。2点目は、主体業務※以外の業務が多いために稼働率が上がらない状態にもかかわらず、効率の改革に着手しても効果が限定的になるからだ。主体業務を明確にして、その業務に集中させた方が人材成長のスピードは速くなる。

営業の現場では、主体業務の最大化においては20%という数字がベンチマークとなる。私の体験からも、営業部門でクライアントとの商談時間を主体業務として分析すると、この業務が総労働時間の20%以上を超えるが、超過分は納期の調整など付加価値創造に直接つながらない業務ばかりで、生産性に寄与していないことが多いのも実情である。

社員の立場から見ても、主体業務に集中できる職場環境の方が「やることが明確=責任が明確」になることから、モチベーションアップへの効果も期待できる。働き方改革というと大きなテーマのように思われがちであるが、まずは、自社の社員が主体業務に集中できているかという分析から始めてみることをお願いしたい。
※ 主体業務とは組織におけるミッション・役割から見て本来、集中的に取り組むべき業務


経営コンサルティング本部 副本部長 川島 克也

■筆者プロフィール
タナベ経営
経営コンサルティング本部 副本部長
川島 克也 Katsuya Kawashima

経営全般からマーケティング戦略構築、企業の独自性を生かした人事戦略の構築など、幅広いコンサルティング分野で活躍中。企業の競争力向上に向けた戦略構築と、強みを生かす人事戦略の連携により、数多くの優良企業の成長を実現している。

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社員一人一人の成長が企業の未来をつくる


全国屈指のホイール物流企業

自動車関連企業が集積する愛知県岡崎市で、ホイールをはじめとする自動車部品の物流を担うのがロジックスだ。

同社は1992年、トヨタ系ホイール製造大手の中央精機とカー用品商社のウェッズが共同出資で設立。当初は輸入ホイールの取り扱いが中心だったが、2000年の「豊田物流センター」(愛知県豊田市)建設を機に、ホイール検査、荷姿変更業務などを内製化し、飛躍を遂げた。今は全国11カ所へ拠点を拡大し、直近(2015年)の年間ホイール取扱量は約1500万本と、業界で全国屈指の規模を誇る。

「当社の資源は倉庫と人材だけ」。そう語るのは代表取締役社長の鶴田和昭氏。トラックなどを自社で保有せず、20社以上の輸送会社と提携し、ローコストかつ効率的な運営を行う。

貴重な資源である「人」を尊重する姿勢は、社是や理念にも表れている。

「『創造と挑戦』会社の繁栄、我々の幸せのため、創意工夫を展開し、社会に貢献する」

この社是は2006年、社内公募で策定したものだ。社員、お客さま、株主も含めたみんなの幸せ="我々の幸せ"を追求し、共に発展していこうとする真摯な企業姿勢が見て取れる。

ロジックス 代表取締役社長 鶴田 和昭氏
ロジックス 代表取締役社長 鶴田 和昭氏

自分で考え、工夫して動ける人を育てる

ロジックスは今、新たな人材育成への取り組みを始めている。中途入社が多い同社にとって人材の多様性は強みではあるが、だからこそ筋の通った教育を行い、社員のベクトルを合わせる重要性は高い。何より「自分たちの力で会社を発展させるには、社員個々が成長し、知恵や工夫を出すことが必須」(鶴田氏)

いかにベクトルを合わせるかという悩みを抱えていたとき、タナベ経営と出会い、2014年から次代を担う幹部候補の育成を開始。1年目は中期経営計画の策定、2年目はその推進(LNP※1)、3年目には次の中期経営計画を策定する2年がかりのプロジェクト(LNCP※2)に取り組んだ。

さらに、幹部候補以外にも対象を広げるため、新たな教育体制「4ボードシステム」を構築。2018年4月からの実施を決めている。

4ボードシステムは、経営幹部、部門長、所属長~係長、一般社員の4層に分けた教育プログラムで、一般社員は参加意思を自己申告すれば参加できる。それぞれの現場を支える一般社員の育成が進めば、会社全体の強力なボトムアップになる。また、LNPやLNCPの受講メンバーらは講師となり講義を行う。教える経験は彼ら・彼女らの一層の成長につながる。

「考えて仕事をする人、工夫して動ける人」の育成に取り組んできた鶴田氏は、社員の成長に確かな手応えをつかんだ。さらに「『売上高100億円、200億円になれば、こんな夢が見られる』と力強く語れる後継者に育ってほしい」と力を込める。
※ 1 Logics Next Leader Program の略
※ 2 Logics Next Challenge Program の略

全社研修の様子。さまざまな研修内容で社員の成長を促す
全社研修の様子。さまざまな研修内容で社員の成長を促す

新たな品目へチャレンジしさらなる発展へ

このほかにも、ロジックスでは多様な方法で人材育成に取り組んでいる。例えば、社是や理念を日常行動に落とし込んだ「行動指針」は、社員が策定したもの。「社是や理念を自分たちの日常に落とし込んで、具体的にどうすればよいか、全社員で考える機会になった」(人事部人事課長の中西功治氏)という。

また、この指針に則して行動した社員を表彰する制度(MOT※3)を創設。表彰者を推薦するのは、人事や幹部ではなく一般社員だ。「MOTでは数字など見えやすい指標だけでなく、行動に焦点を当てることができ、地道に仕事に取り組むタイプの社員も表彰されている」と中西氏。表彰された社員はモチベーションが上がり、さらに良い仕事ぶりを発揮するなど、好循環が生まれている。

さらに「LNPの提案で社内報を発行し、社内コミュニケーションの活性につながっている」と経営企画部経営企画課長の内山隆一氏。2017年からは、3拠点にデジタルサイネージを設置して、社内報の掲載内容を放映・共有する取り組みも始めている。

同社は今後、自動車部品にとらわれず、新たな品目にも拡大するという。あくなきチャレンジ精神、人づくりへの強い思いと取り組みを原動力にしながら、中長期目標に掲げる売上高100億円の実現を目指している。
※ 3 Man of the Team の略

ロジックス 経営企画部 経営企画課 兼 新事業開発課 兼 情報システム課 課長 内山 隆一氏
ロジックス 経営企画部 経営企画課
兼 新事業開発課 兼 情報システム課 課長
内山 隆一氏

ロジックス 人事部 人事課 課長 中西 功治氏 January 2018
ロジックス 人事部 人事課 課長 中西 功治氏

PROFILE

  • ㈱ロジックス
  • 所在地 :〒444-0232 愛知県岡崎市合歓木町字渡嶋90-3
  • TEL : 0564-43-5830
  • 設立: 1992年
  • 資本金 : 1億円
  • 売上高 : 50億3100万円(2017年3月期)
  • 従業員数 : 258名(2017年11月現在)
  • 事業内容 : 倉庫業、第一種利用運業、第二種利用運送業(鉄道)、物流に関するコンサルティング、物流機器の販売、倉庫サブリース事業、環境ソリューション事業、労働者派遣事業
  • http://www.lgcs.co.jp/

 タナベ コンサルタントEYE  
ロジックスは保管から加工、梱包、配送まで物流のワンストップサービスを提供する、「ホイール取扱量日本一」企業。物流の仕組みづくりから運用、定着までの物流トータルシステム化を展開している。社是「創造と挑戦」の言葉通り、社員に求めることは自ら考え動くこと。真剣に取り組んだ末の失敗なら許される風土で、むしろ失敗から何を学ぶかを大事にしている
鶴田社長自ら積極的に社員教育に携わり、新規事業立ち上げを通じて人材を育成し、さらに人を育てられる経営幹部を増やすことに力を入れる。現在、経営幹部候補生は20名以上。鶴田社長は今後の活躍に期待を寄せる。

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経営コンサルティング本部
副本部長 戦略コンサルタント
種戸 則文

住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会

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2019年消費税増税・2020年オリンピック開催後の"次の一手"

社会構造や家族構成の変化に伴い、住まいや暮らしに対する価値観がめまぐるしく変化しています。その潮流の中で、躍進し続ける企業はどのような成長戦略を推進しているのでしょうか?
「住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会」では、ハウスメーカーやリフォームをはじめ、住まいと暮らしに関わる様々なビジネスを展開する、優秀企業の現場を視察し、成長モデルを学びます。

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